主観客観

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バレンタインデーにみる市場創造

2011年2月3日

 2月14日はバレンタインデーである。毎年この時期になると男性は悲喜交交を味わうが、これは女性から男性に愛の告白とともにチョコレートを贈るという日本のバレンタインデーの独自性に起因する。

 このバレンタインデーにチョコレートを贈るというスタイルの起源は諸説あるが、1960年に洋菓子メーカーである森永製菓が「愛する人にチョコレートを贈りましょう」というコピーとともに行ったキャンペーンはよく知られている。しかし、このときは「チョコレートを添えて(手紙などを)贈る日」という位置づけであり、バレンタインデーに誰から贈るのかということでは女性に限定されていなかった。ただ、「愛の日」という点は強調されていた。

 その後は下火になりかけた時期もあったものの、1970年代前半に小学校高学年から高校生が主導する形で急速に普及し始め、1970年代後半に女子から男子に親愛の情を込めてチョコレートを贈るという日本独自のスタイルが定着した。
 菓子関連業界はかつて2月と8月に菓子の売り上げが落ち込むことに頭を悩ませてきた。しかし、現在、日本のチョコレートの年間消費量の約2割がこの日に消費されるまでになり、2000年代以降はさらに多様化している。自分のためにチョコレートを購入する「自分チョコ」のほか、2000年代初めには女性から女性に贈る「友チョコ」が広まり、後半には日本では一般的でなかった男性が女性にチョコレートを贈る「逆チョコ」も拡大しつつある。

 ここで注目されるのは、バレンタインデーにチョコレートを贈るというスタイルの普及に大きな役割を果たしてきた森永製菓が、1960年と同じく2000年代後半以降は「逆チョコ」を大きくキャンペーンしていることである。つまり、主要なプレーヤーとして寄与してきたバレンタイン市場に対して、再び自ら挑戦していることである。市場は商品機能だけではなく、文化や歴史、思想などさまざまな要素を背景としており、それを創造することは決してたやすくない。しかし、市場創造は人びとの不満や欲求を満たすことで成り立つ。バレンタインデーは女性が男性に告白するという欲求に応えることができ、そして、時代に合わせて変化を遂げる必要がある。これは多くの市場に共通するのではないだろうか。

(なんとか王子)


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