主観客観

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つぶやきは世界に広がる

2011年2月3日

 チュニジアで起こったジャスミン革命の影響が、中東やアフリカ諸国を中心に拡大している。報道で確認できる事例だけでも、アルジェリア、イエメン、ヨルダン、エジプト、モーリタリア、スーダン、トルコ、ヨーロッパのバルカン半島の南西部のアルバニアといった国々に現政権に対するデモとして飛び火している。これを受け、一党独裁の中国ではエジプトに関する情報がインターネットで取得できないように制限を強化した。

 デモに発展した国にはいくつかの共通点がある。ともに経済格差が大きいこと、そして若年層の失業率が高いことである。

 事件の発端は昨年12月にチュニジア街頭で青果を販売していた失業中の一人の青年が、警察に商品を没収され、これに抗議するかたちで青年が焼身自殺を図ったことあった。若年層の失業率が高い同国では同遇の若者が多くおり、事件は若者の共感を大きく集めた。
 ここまでであれば、途上国や格差の大きい独裁制の強い国家によくあるものだった。しかし、これまでの事件と違ったのは、YoutubeやTwitter、WikiLeaks、Facebookなどのネットメディアにより、詳細な情報や映像が世界中のインターネットユーザーを中心に一気に拡散したことである。チュニジアではインターネットに慣れ親しんだ若年層を中心に急速に情報が共有化され、その後の大規模なデモとなり政権が倒れるというジャスミン革命につながった。さらに、この革命の成功が、格差や独裁制色の強い世界中の国々に波及した。
 特に大きな影響を受けたのが、中東の最大国エジプトである。同国では、30年近くにわたる長期政権が続いている。また、近年は世界的な金融不安や資源高騰などから、民衆の生活に深刻な影響を与えるインフレが続いており、経済格差も広がっていた。民衆の間には長期政権に対する不満が充満しており、現政権に対するデモが発生した。これを受け同政府は夜間外出禁止令を発令。しかし、民衆の怒りは収まらず、政府はインターネットの通信を遮断した。証券取引所など国内外の主要機関で利用するインターネットも停止し、同国の株式市場も停止した。

 もちろん、ジャスミン革命やエジプトの争乱がインターネットメディアの影響のみで起こったわけではない。しかし、インターネットメディアが多くの人と短期間に情報を共有し、集団行動を起こすきっかけとなったことの証左になったことは間違いない。

 今回の事例で、認識させられるのは途上国において多くの人々が、内外を問わず現状に対し強い不満をもっており、それが大規模な行動につながりかねない状況があるということである。チュニジアやエジプトはアラブやアフリカ諸国では高い成長率を誇り、国際社会では同地域のモデルとなる国と世界で認識されていた。しかし、実情は格差が拡大し多くの民衆が不満を持っていた。このような国々は世界中に点在しているという認識を改めて持つべきであろう。また、こういったリスクは途上国のみならず先進国にも顕在している。記憶に新しい例では、先進国の政府を揺るがしたWikiLeaksを介した機密情報の公開や、中国漁船衝突事故の映像公開などの事例が挙げられる。日本に目を落としても、若年層の失業や格差の拡大など共通する部分は多い。今回の事件を他山の石とし身近な問題として一人ひとりが考えることが重要なのではないだろうか。

(きりん)


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