主観客観

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地震によってできた深いクレバス

2011年6月3日

 磐梯朝日国立公園の一部に月山という山がある。数少ない夏スキーが楽しめる所でも知られており、5月中旬でも雪は6mほど積もっている。リフトは一基、加えてTバーと呼ばれる、ワイヤーに引っ張られて山を登る設備が2箇所に設置されているが、これだけでは頂上に着かない。さらに歩いて登ると月山・姥が岳の頂上である。天気が良ければ鳥海山などもみえ、非常に気持ちのよい眺望だ。

 しかし、今年はゲレンデにも向かいの白い山々にも黒い線が何本もあった。よく見るとクレバスである。地震の影響でできたらしい。地元の方でもこれほどのクレバスはみたことがないという。山が傷を負っているように見え、否が応でも震災を思わずにはいられない眺望であった。

 東日本大震災はあらゆる場所に傷を残した。被害は津波のあった太平洋側に集中しており、報道もそちらが主になっているが、この月山の光景を目の当たりにして日本海側の県は無事であったとは決して思えない。山形県では建物損壊や崖崩れがあった。死者・負傷者もいる。雪模様さえも変えた大きな揺れがあったのだ。

 この地震でできた大きなクレバスは夏になるにつれ雪が溶け、溝はなくなり、また来シーズンには新しい雪が一面に積もるだろう。
 しかし、私たちのなかにできた不信という溝はどうだろうか。混乱する政治や二転三転する情報開示に対する不信は夏までになくなるとは思えない。さらに傷を深める事態さえも懸念される。むしろその前に、震災のことを本気で考えているのだろうかと目を疑いたくもなった。
 月山の麓にある志津温泉では、被災地である南三陸町で働き詰めになっていた看護師達に休養を取ってもらおうと、受け入れを行っていた。痛みを知っている人たちが、より大きな傷を受けた人たちを癒していた。人の痛みが分からない人たちに日本の政治を任せてはいけないと誰もが感じているのではないだろうか。

(小夏)


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