主観客観

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線引きの難しさ

2011年6月3日

 原発事故による金銭補償が徐々に始まった。
 東京電力は、原発事故により避難を余儀なくされた約5万世帯へ当面の生活費として1世帯100万円、単身世帯75万円の仮払いを完了した。また農畜産物被害に対しては出荷制限の被害額を、漁業被害に対しては操業不能となった水揚高について、福島、茨城、栃木などの農協や漁協が請求を開始し、仮払金の支払いが開始された。

 そして、やっと企業にもその補償の間口が広がりつつある。福島原発事故による避難区域内に拠点を置いていた中小企業に対し、東京電力は6月1日から補償金申請の受け付けを始めた。しかし、その金額は、震災後から5月末までに想定された粗利相当額の半分、上限250万円にとどまる。被災企業のみならず、被災企業の取引先など、被災企業が存続することで事故前まで築かれてきた多くが失われたなかで、あまりにも寂しい金額である。
 補償範囲や金額は、どう線引きしたとしても、末代まで禍根を残すことになるだろう。

 また、個人や企業に対する補償が進むなか、政府は福島第1原発から半径20キロ圏内の警戒区域内に取り残された家畜を搬出困難と判断し、畜産農家の同意を得た上で安楽死などの殺処分にすると発表した。
 警戒区域内の一時帰宅などで、飼い主は家畜やペットにエサをやり、限られた時間で愛情を注いでいる。また飼い主が帰る際には、その買い主の車をいつまでも追いかけてくるペットの姿をテレビで目の当たりにすると、家畜やペットがもの言えぬだけに悲哀を感じざるを得ない。

 家畜やペットも飼い主にとっては家族の一員である。今後、原発による避難地域内でやむなく置き去りにするしかなかった飼い主への精神的苦痛への賠償金は俎上にのぼるのだろうか、また金銭賠償のみならず、精神的な苦痛の緩和ケアも必要となってくる。

(寅彦)


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