主観客観

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場当たり的な通貨政策からの脱却を

2011年9月5日

 国際通貨基金(IMF)に特別引出権(SDR)がある。SDRはIMF加盟国の準備資産を補完する手段として1969年に創設された国際準備資産である。2007年のサブプライム問題や2008年のリーマン・ショック時に、基軸通貨としてのドルの信認問題が起こった際には、SDRがドルに代わる国際決済通貨の1つとして候補に挙がった。

 SDRの価値は国際貿易および金融における役割に応じて、主要4カ国の通貨バスケットの価値の加重平均を基に決められる。現在の構成比は米ドル41.9%、ユーロ37.4%、スターリング・ポンド11.3%、日本円9.4%となっているが、この構成比は5年に一度見直され、直近では2010年11月15日に決定、2011年1月1日に発効している。

 実は、すでに次回の構成比についてさまざまなところで議論が行われている。その最大の焦点が人民元の取り扱いである。中国は2010年に日本を抜いて世界第2位の経済大国となり、それ相応の国際経済における役割を果たすことが求められている。次回の通貨バスケットの構成比を決めるのは2015年であるが、現在、そのときの選択肢として2案が挙げられている。1つは人民元を加えた5通貨でバスケットを構成する案であり、もう1つは日本円に替えて人民元を加えるという案である。後者の案が採用されると、国際経済における日本の発言力が一段と低下することは避けられない。

 ただ、SDRの通貨バスケットには各通貨が対外通貨と自由に資本取引が行われなければならないという条件がある。現在、人民元レートは、徐々に上昇しているとはいえ、中国政府と中国人民銀行のコントロール下にある。2010年の中国の経済成長率は10.3%であったが、仮にこの成長率が続けば約7年で中国の経済規模は2倍となる。これほどの規模をもつ国の通貨が国際経済の枠組みで役割を果たさないということになれば、国際経済の大きな攪乱要因となるであろう。逆に、人民元が自由化されれば、日本円だけが買われ独歩高となるような事態は緩和されるとみられる。超円高がつづくなか、政府は場当たり的な円高対策だけではなく、戦略的に通貨政策を考えなければならない。

(なんとか王子)


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