主観客観

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新車を買えない地方バス事業者

2011年9月5日

 飛行機や電車などの公共交通機関のなかで、もっともきめ細やかに走っているのがバス。市街地から山道まで日本全国至る所に走っており、日常生活になくてはならない交通機関のひとつである。
 しかし、国交省発表の「平成21年度乗合バス事業の収支状況について」によれば、保有車両が30両以上の全国のバス事業者の71.7%が赤字で、特に大都市部を除いた地域では84.9%が赤字であった。黒字企業でも、バス事業だけで黒字化しているところは少なく、多くは観光や小売事業などで補填しているという。鉄道や高速道路などインフラの整備が進み、自家用車利用が増えていることや過疎化、高齢化など人口構造の変化によって利用者が減少したことが原因だ。バス会社には、国や自治体からの補助金がでているが、それでも充分とは言えず、満足いく経営は成り立っていない。地方部では、新車両を買う資金もないバス事業者が大半だ。

 東京や大阪などでは、大都市地域の大気汚染改善を目的とした「自動車NOx・PM法」の対象地域となっており、規制がさらに強く、車両の買い換えを迫られる。まだ動くが都市部の規制に準拠しない車両を購入するのが国内の地方部やアジア圏の事業者だ。廃車予定の車両が売れることでやや稼げる都市部事業者と、整備の行き届いた比較的新しい車両を格安で仕入れることができる地方事業者や海外事業者との利害関係は一致している。

 都市部で規制対象となっているものを地方部や諸外国に持って行くことは、購入先の環境問題につながるなどの問題もある。しかし、車両代もまかなえずに地方部の廃線が進んでしまうのも避けたいところ。また、都市部では廃車されるバスも、地方部では新しい車両の部類に入るため、都市部の廃車両のほうが、地方部の既存車両よりも環境に良いことも充分にあり得る。

 バス事業の主幹である車両さえも新車を買えない状態になるまで、この公共交通事業は放置され、補助金という場当たり的とも言える支援によりなんとか生き長らえてきた。しかし、人口構造の変化は進み、補助金では耐えられなくなるのは自明の理だったはずである。
 逼迫するバス事業をめぐって、官公庁や民間を問わずあらゆる機関で、長年議論が行われている。しかし、さしあたっては革新的な解決策もなく、その間もずっと構造不況は続いているのである。日本は人口減少社会に突入している。「乗客がいてもいなくても、毎日決まった時間、便数を走らせる」という路線バスの形態を、維持することができない地域も多い。今後は、バスの運行形態の見直しから必要なのかもしれない。

(小夏)


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