主観客観

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諦めが生む回復の遅れ

2012年2月3日

 元々住民が住んでいなかったリゾート開発地では、観光客の減少は町の収益に直結し、一気に衰退する例も少なくない。
 先日訪れたとあるスキー場。雪と強風により木も生えず、信越地方にありながらマイナス20度近くまで冷え込むこともある。以前のようなスキーブームの時にはリフトに乗るのも遊園地のアトラクション待ちのように並んだというが、いまはウィンタースポーツ離れが進み、かつてのような勢いはみられない。
 現在、国内のスキー場では、市場規模の小さい国内観光客ではなく、外国人の観光誘致を進めている所も多い。信越にあるこの地も多分に漏れず外国人観光客を誘致し、特に中国の富裕層向けのパッケージツアーを企画するなど、徐々に盛況を迎えつつあった。富裕層やバカンスのある国の観光客は、一度来たら長期滞在する傾向があり、スキー場や町が潤うのである。現地の方いわく、宿泊代の張るリゾートホテルにも客が集まり、多言語対応者の雇用も進めていたという。しかし、2011年3月の東日本大震災の発生により、一気に客足は途絶え、今年は閑古鳥が鳴いている。

 ただ、日本政府観光局が発表した2011年12月の訪日外国人数によると欧米豪はいまだ前年を下回っているが、中国や香港は前年を超える水準にまで回復している。
 特に、北海道のニセコは以前よりオーストラリア人が観光客のほぼ半数を占める時もあり、外国資本企業の投資なども積極的に行われている。また、本州でも志賀高原や野沢温泉などでも観光客の誘致が進んでいる。ニセコや野沢温泉などでも、震災後には外国人観光客の足が遠のいたが、海外のメディアに広告を掲載したり、安全性をアピールしたりした効果もあり、いまでは前年同期に戻りつつあるという。

 どうも、この地で問題なのは円高や震災による風評被害以上に、一企業の努力だけでは太刀打ちできないからと諦めている経営者が多いということらしい。諦めにより、他の地域と比べ回復に後れを取ってしまっている。確かに一企業が日本全体のPRをするのは難しいが、そのスキー場、土地のPRは十分にできる。放射能汚染の懸念に対する安全性や、円高という障害を上回るサービスの提供など個々の観光地ならではの活動は枚挙に暇がない。
 問題が大きすぎると、対応を考えることさえも放棄してしまう状況は解らなくもないが、立ち止まってしまっては前にも進めない。いま、一歩ずつでも大きな問題に立ち向かう方と、諦める方の間で少しずつ格差は拡大している。

(小夏)


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