主観客観

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無料の代償は?〜個人情報を切り売りして得る利便〜

2012年3月5日

 世界最大の検索エンジンサービスを提供するGoogle(米)は、2012年3月1日より大幅なプライバシーポリシー(利用規約)の改訂を行った。プライバシーポリシーの改訂自体は多くのwebサービスを提供している企業が恒常的に行っている。また、改訂を通知する期間や方法について法的な制約は特にないとされている。しかし、同社のサービスの利用者があまりに膨大だったため、webサービスについての大きな議論が沸き起こった。

 同社の主要なサービスはGmail(メール)、Googleカレンダー(スケジュール管理)、YouTube(動画サービス)、Google map(地図情報)などがあり、コスト削減や利便性の高さから読者のなかでも利用している人が多くいるだろう。ちなみに、現在急速に普及しているスマートフォンやタブレットPCのOS(基本ソフト)であるAndroidもGoogleが提供しているサービスの一つである。
 これらのサービスの多くは同社が無償で提供しているが、基本的にサービス毎にプライバシーポリシーを利用者と結ぶ形をとり、相互サービス間での利用者情報の統合は基本的には行われていなかった。しかし、今後はこれらのプライバシーポリシーを統合し、利用者の行動実績の分析を行い、利用者の利便性の拡大と、効率的な広告などマーケティングに利用するとしている。
 これによってどんなことが可能になるか。メリットとしては、利用者の嗜好をより正確に捉え、検索サービスや動画サービスを効率的に提供することが可能になる。また、スマートフォンのGPS機能などを利用し、あらかじめ来訪する予定場所に必要な時間を計測し、予定に間に合わない場合は早い段階で次のスケジュールの調整を促すようなサービスも可能になる。一方で、悪意をもった第三者によって自分の行動履歴がすべて明るみになるといった大きな懸念がある。また、その第三者が国家権力であれば思想や政治的な監視をされてしまうといった危険もともなっている。
 この懸念に拍車をかけたのは、同社がアメリカの司法機関の命令があればデータの引き渡しに応じるとしていることである。アメリカでは911以来、米国愛国者法(Patriot Act)を制定し、テロを未然に防ぐため、人物や集団の情報を収集している。この法に基づいた要請に同社が応じた場合、特定の宗教・政治に係る人物の情報が政府に監視されるのではといった懸念が広がった。

今件で無料webサービスを利用している利用者の情報は運営企業の営利目的で利用されることがあるということが広く知られる結果となった。日本では、この問題が契機になってか、首都圏の鉄道やバスで利用できるICカード型乗車券「パスモ」が公共交通の乗車履歴が第三者に閲覧される危険性があるとセキュリティ専門家などに指摘され、一部サービスを停止した。

 利便性とコストはある程度、表裏一体となっている。無料のサービスを受けるということは、プライバシーという名の大きな対価を支払っていると意識することが情報化社会を生きる上では重要であろう。

(麒麟)


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