主観客観

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リショアリングに先駆けて

2012年5月7日

 アメリカでは生産拠点の国内回帰を表すリショアリング(reshoring)の動きがみられるという。
 ボストン・コンサルティング・グループの調べによると、輸送機器や家電、プラスチック・ゴム製品などは生産拠点の移転を検討すべきであるとしているが、この動きは一部にとどまるという見方もあり、先行き経済が見えない以上は企業も動き方を探っている状態である。ただ、中国国内の人件費高騰により中国が魅力ある国でなくなっていることや、ドル安が進行すればますます海外生産のメリットは減少する。原油価格の高騰により運輸コストの上昇が問題となってきたことに加え、開発部門と生産部門の意思疎通がより容易な国内にメリットを感じ始めているという。

 また、先般の洪水により生産への影響の大きさを感じさせたタイにおいても、主要6地域における最低賃金が4月1日から上昇し、引き上げ前と比べ40%上昇したという。現地法人の反対やタイ中央銀行の制止を振り切って始めたというのだから、最低賃金の上昇に対するタイの政権与党の強い執念がうかがえる。

 では、リショアリングの動きは日本ではどうだろうか。一部の被服関連やPC関連でみられはじめており、アメリカに比べるとまだ動きは小さいが、富士ゼロックスが中国工場から日本・新潟工場に一部生産を移管するなど、具体的な報道もある。
 また、発注先を国内に戻した例もある。百貨店の松屋が打ち出した新しいスーツは3万円台からのオーダーメード。生地は欧州産で製造は国内の中小企業だ。中国の縫製工場ではロット数の大きい商品生産が好まれる傾向にあるため、多品種小ロットを求める日本向け製品には向かないという事情がある。そこで目を付けられたのが、日本の小規模な縫製工場だったのである。高品質かつ低価格なスーツとあって売り上げは12倍にもなり、好評を博している。

 大手メーカーの工場が国内に戻れば従来取引があったところに再依頼が来たり、新規に工場周辺で下請け企業を探したりする可能性も高く、雇用の増大なども見込まれる。また、なにもリショアリングは大手やメーカーのみの話ではない。前述の松屋のように、販売・流通が海外工場での生産を打ち切って国内工場を探すこともある。
 日本回帰のメリットを各社が見直しているなか、既存の国内企業においては、業界の動きをいち早く察知するところからリショアリングをめぐる動きは始まる。

(小夏)


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