主観客観

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日本衰退の試験紙

2012年6月5日

 関西電力は電力供給量における原子力発電への依存度が他地域よりも、大きかった事が一因となり、夏季の電力供給量不足が懸念されている。以前はクリーンな発電として原子力発電の割合が高いことをアピールし、一時、原発依存度は50%を超えていたが、投資の多くを原発に費やしていたために、震災後の国内原発機の全停止により一気に窮地に立たされた。現在は老朽化した発電効率の悪い旧型の火力発電所を使用せねばならず、高騰した燃料価格の影響を大きく受けている。また、管内の電力供給は管外の電力を融通してもらうことで成り立っており、今夏は綱渡り状態とも言えるだろう。

 震災直後には原発の全機停止への流れがあったなか、需要がピークを迎える毎夏の電力供給に向けた対策を怠っていたのではないかなど、関西電力に対する風当たりは強いが、当の関西電力は中部・北陸・中国電力からの融通などもあり今夏を乗り切る方針を示している。ただ、最大需要量を平成22年の猛暑時のデータを基準としているが、気象庁の季節予報でも近畿以下西日本は高め予報ということもあり、楽観はできない。仮に、大飯原発が再稼働したとしても、節電協力を求められる予定だ。大阪のテレビ各局では供給余力が残り3%を下回った場合、緊急節電令を発動するという。

 計画停電実施の懸念も払拭することができない状態のなか、節電による生産調整が発生すれば、回復が遅れている西日本の景気をさらに下押しする可能性は高い。また、内需関連の景気回復が比較的進んでいるとはいえ、過度な節電が求められれば消費活動の自粛も広がるとみられる。さらに、燃料費の高騰が続けば、電気料金値上げの可能性もあるのだ。また、この事象が来年起こりえないとも限らない。それにもかかわらず、私たちは目の前に迫り来る、景気下押し要因を黙って待っていることを強いられている。
 電力供給が滞ることは生活や事業継続に大きな影響を及ぼすことは明らかであり、それは各個人や企業では太刀打ちができない範囲である。できることは「逃げ出すこと」と各々が判断すれば、さらなる産業空洞化や地域の疲弊につながる。
 震災後の電力供給をめぐるこの問題はこれからの日本の課題解決能力を試されている試験紙のようなものかも知れない。政府や電力各社、産業界が今後の方向性や有効な対策が打ち出せないような状況とあれば、一事が万事、世界からの日本の訴求力は大きく失われ、日本が政治・経済の表舞台から姿を消す日もそう遠くないかもしれない。

(小夏)


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