主観客観

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訪日外国人、震災後はじめてプラスに

2012年8月3日

 日本政府観光局が7月20日に発表した2012年6月の訪日外客数は、東日本大震災以降初めて2010年同月比でプラスに転じた。6月単月では過去最高を記録しており、日本政府観光局は「市場全体では、東日本大震災等の影響から着実に回復しつつある」と分析している。
 震災以降大幅に落ち込んでいた訪日外客数は前年比では改善していたものの、放射能汚染にともなう安全への懸念などが払拭されず、前月まで震災前を下回り続けていた。また、円高の進行による割高感や燃油サーチャージの高止まりなども日本回避につながっていた。現に、欧米ではいまだ2010年同月水準を下回る国も少なくない。
 6月の訪日外客数増加に最も寄与したのは、韓国、中国、台湾などをはじめとしたアジア圏の大幅回復である。前述のようなマイナス要因は払拭されてはいないものの、大型クルーズ船の寄港や航空座席供給量の拡大が訪日個人旅行者の増加につながった。

 消費への恩恵が期待される観光客の増加は、内需関連企業への好材料となっている。一部の百貨店などではパスポートを見せれば商品が割り引かれるゲストクーポンの発行や、海外カード会社との相互送客提携を行うなど外国人観光客の囲い込みが行われており、今後もこの流れは拡大するとみられる。
 日本の消費動向をみると、エコカー補助金や住宅エコポイントの駆け込み需要など政策支援による押し上げ効果の影響が強く、本格的に消費者の購買意欲が上向いているとは言い難い。内需関連企業が観光市場に期待を寄せるのも自然な流れと言えそうだ。

 今の日本への訪日外客数増加は、日本が魅力ある国だから来ているのだろうか。放射能汚染への懸念という大きな阻害要因を乗り越えて、さらに増えていることには嬉しさを感じる一方、資金に余裕をもったアジア圏の富裕層が近距離で手短な日本を選んだだけなのだろうかとも考えられる。欧米からの観光客が回復していないことがこれらを裏付けているのではないかとも懸念される。

 観光庁や観光関連各社によるキャンペーンや商談会は多く行われており、観光地やホテルなども、外国人仕様への工夫もあらゆるところでみられるようになった。しかし、実際に旅行をしたときに、その国の印象や好き嫌いが決まるのは道を尋ねたり、買い物をしたときの現地の人がキーとなることが多いのではないだろうか。過去最高を記録した訪日外国人が、何度でも日本に訪れたいと思わせるには、関連企業だけではなく多くの日本人が外国人観光客との共存を受け入れることが最も効果的な日本のアピールになるのかもしれない。

(小夏)


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