主観客観

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経験則を脅かす気候変動

2012年10月3日

 今年の9月は残暑厳しく、夏の終わりが延々と引き延ばされているような印象があった。いつもなら私の地元では彼岸花の見頃も迎えているはずだが、開花が遅れているなど季節の遅れを感じる機会が増えているように感じる。季節需要ともいえる秋冬物衣料の販売低調など、店舗に並んでいる商品と体感気温との差が大きいことで、本来あるはずの消費が抑えられている。

 9月末に気象庁が発表した北海道周辺海域の9月中旬の海面温度(旬平均)では22度5分と平年より4度6分高かったという。太平洋高気圧が張り出し、海面表層が暖まった一方で、風が少なく、冷たい海面下部の水が混ざらなかったことが原因である。
 漁業関係者に影響を与えたのは言うまでもない。2012年9月TDB景気動向調査に寄せられた企業からの声には「最盛期を迎えているサンマ、秋鮭漁では表面海水温度が例年より高く、寄り付かない。不漁」(北海道・水産食品製造)なども聞かれた。さらに、魚体が小柄の傾向もみられるという声もあり、満足の行く漁はできていないという。秋刀魚漁解禁の8月中旬に比べれば、現在の漁獲量は回復に向かっており、価格も平年並みに近付いているが、時すでに10月。とっくに市場に大量の秋刀魚が出回っていてもおかしくないはずである。

海面温度の問題は、先日の日本列島を縦断した台風18号などをはじめとする台風到来が続いていることで、海水の混合が進むとみられるとともに、気温が平年に近付いてきていることから、解消されるとみられるが、旬のズレは今年だけの問題ではないだろう。

 近年、夏から冬への気候の変化が急激に進むことが叫ばれて久しく、体調を崩す方も多いだろう。秋物衣料の販売不振や旬のズレなど経済にも大きな影響を及ぼしている。季節商品を扱う業種にとって気候の変動は売れ筋をみる貴重な情報であるが、気象条件の変動は今後もあらゆる場面に出くわすであろう。セール時期の変動や商品の見直しなどすでに行われている事象が活発化し、過去の経験やデータが当てにならなくなる可能性があることも十分考慮に入れておきたい。

(小夏)


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