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インフレ目標とは

2013年1月10日

 安倍首相が誕生し、これまでの民主党政権とは異なる金融・財政政策が打ち出されている。例えば、金融政策ではインフレ目標の導入と、それにともなう政策協定(アコード)である。
 インフレ目標とは、インフレ率に対して政府と中央銀行が一定の範囲の目標を定め、それに収まるように金融政策を行うことである。また、政策アコードは政府と中央銀行で定める目標を記した合意のことをいう。

 インフレ目標を考えるうえで最も重要なことは中央銀行の独立性についてであるといえる。独立性には「目的」と「手段」の2つがあるが、中央銀行が「手段の独立性」を持つことに関しては広くコンセンサスが得られている。一方、「目的の独立性」はどの国も法律で金融政策の目的が規定されているため、この意味で独立性を有する中央銀行は存在しない。ただ、具体的な目標をどう設定するかは各国により異なる。したがって、焦点は「具体的な目標」をどのように決めるかに行き着く。

 日本銀行の場合、1998年の改正日銀法の施行により、「具体的な目標」と「手段」の双方を保持する世界で最も独立性の高い中央銀行となった。その一方で、説明責任については、政策決定の会合が開かれるたびに総裁自らが記者会見の場で説明するという主要先進国で唯一の中央銀行でもあった。
 ただ、日本銀行はこれまでインフレ参照値として目安となるインフレ率を公表していたが、2012年1月に米連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ目標を導入したことにより、主要先進国で「具体的な目標」を自ら決定し、制度的に外部からの制約を受けない唯一の中央銀行となっていた。

 つまり、インフレ目標とは「具体的な目標」を政府と中央銀行が共有する制度的な枠組みであり、政策アコードによって両者が目標に対する責任を共同で負うことを規定するのである。金融政策は財政政策と並んで経済政策の柱であるが、これまで、国会で決まる財政政策は選挙によって国会議員が国民の審判を受ける一方で、金融政策は国民の手から離れたところにあった。
 したがって、インフレ目標の導入と政策アコードは、「手段」は専門家である日本銀行に委ねるものの、「具体的な目標」に対する結果は国民によって評価される制度であると捉えるべきであろう。

(撞球者)


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