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鳥インフルエンザ、不安拡大防止には医療体制の確立を

2013年5月7日

 中国で鳥インフルエンザの流行が拡大を続けている。野鳥からもウイルスが検出され、ヒトからヒトへの感染が疑われるなど状況は深刻だ。長引けば中国への観光客の減少や食品の輸出への悪影響も懸念され、中国政府は鶏の殺処分や生きた家禽類の取引を中止するなど感染拡大防止策など各地で対策を強化している。しかし情報統制が厳しい中国において、中国国民の政府に対する不信感は根強い。正確な情報は何か、何をすべきか−人びとは錯綜し不安が広がる。それとともに中国国民にとって無視できないのが、医療面での不安である。

 中国人にとって家計から医療費を捻出するということは簡単ではない。この問題を中国社会では“看病難”、“看病貴”という。“看病難”は、しっかりとした治療が受けられる設備や医師が大病院に集中しており、その病院も都市に多いことから、地方の病院に診察を受けに行っても適切な治療が期待できないことを意味し、“看病貴”は医療費が高すぎるため診察にも行けない状況が表されている。

 中国では日本のように有効な医療制度が整っていない。医療制度は都市と農村で大きく分けられるが、問題は保障範囲が大きく異なることだ。そのうえ医療費は高く、一度病院にかかれば日本では考えられないほどの高額な費用が発生する。その背景にあるのは病院経営のあり方である。
 中国の病院は独立採算制となっており出来高制が取られているため、不要な薬や抗生物質、検査をすることで医療費が高騰するとも言われている。こうした背景から、一般の中国人にとって病院にかかるということは家計の一大事を意味し、病院に行くこと自体を難しくする。

 鳥インフルエンザは48時間以内に治療を受けることが有効とされている。しかし、この状況で48時間以内に病院にかかれる人がどれだけいるだろうか。
 3月31日に中国政府がWHO(世界保健機関)にH7N9の発症を通知してから約1ヵ月。受診遅れを防ぐためには、緊急事態への対応として医療費負担を積極的に行うなど、中国政府の早急な対応が求められる。

(伏見)


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