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“異次元”金融緩和は自律回復に向けた第一歩

2013年5月7日

 4月4日、日本銀行は“異次元”の金融緩和政策を発表した。アベノミクスの三本の矢(「大胆な金融政策」「機動的な財政政策」「民間投資を喚起する成長戦略」)のうちの1本目が、市場予想を上回る大胆さで打ち出された。この「量的・質的金融緩和」では、消費者物価の前年比上昇率2%という物価安定の目標を、2年程度の期間を念頭において、できるだけ早期に実現するとして、政策の目指す時期と規模を明示したことになる。

 また、金融緩和を受けて、日経平均株価は13,926円(4月25日終値)へと上昇し、為替レートも一時1ドル=99円94銭(4月11日、東京市場)まで円安が進んだ。期待先行の面は否めないが、将来の業績改善やデフレ脱却の可能性に市場が反応した結果であろう。

 一方で、3月の貿易統計では、輸出額が前年同月比+1.1%、輸入額が同+5.5%、貿易収支は−3,624億円となっている。輸出額は2カ月ぶりの増加となったが、貿易収支の赤字傾向が続いている。特に、輸出数量は同−9.8%で10カ月連続の減少となった。この背景にあるのは為替レートが変動したときに起きる一時的なJカーブ効果と捉えるべきである。円安の影響が輸出数量に及ぶには半年から一年程度かかるため、アベノミクスの積極的な金融緩和による効果は2013年度後半に現れてくると考えられる。それまでは原油や天然ガスなどのエネルギー輸入の増加による貿易収支の悪化が続くと見込まれる。

 円安が輸出の増加につながるまでに一定の時間がかかる一方で、輸入はより短時間で影響を受ける。そのため、エネルギーなど生産活動に大きく関わる分野での価格上昇は、短期的には企業収益の悪化要因となることは避けられない。だからこそ、機動的に財政政策を展開することで、時間を稼ぐ必要がある。そして、成長戦略が、日本経済がその後の持続的な成長経路に乗るためのカギとなる。これらの政策が上手くかみ合って初めて、日本は民間主導の自律回復を遂げたといえるのではないだろうか。

(撞球者)


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