主観客観

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成長戦略で頻出する“生産性”を
どう捉えればよいのか

2014年7月3日

 6月24日に政府は新しい成長戦略『「日本再興戦略」改訂2014』を閣議決定した。法人税改革や女性の活躍促進、働き方の改革、中小企業の支援など多くの項目が並んでいるが、そのなかで“生産性”という言葉が頻繁に登場する。数えてみると、全文130 ページの文章中に36回使われていた。
 昨年公表された成長戦略で使われた11回と比べて3倍以上に増えており、新しい成長戦略は“生産性”を重視する考えがより強まったともいえるだろう。しかし、この“生産性”にはさまざまな種類があり、成長戦略で具体的に何の生産性を指しているのかは明確でない。

 改めて“生産性”を定義すると、生産性とは「投入量と産出量の比率」であり、投入量に対して産出量の割合が大きいほど生産性が高いことになる。そして、投入量としては労働、資本、土地、原料、燃料、機械設備などの生産諸要素があり、産出量としては生産量、生産額、売上高、付加価値、GDPなどがあげられる。通常は、生産性というと、労働を投入量として測った生産性(労働者1人1時間あたりの生産性=労働生産性)を指すのが一般的である。ところが、成長戦略のなかでは“労働生産性”と明示している項目もあるが、一方で何の生産性を目標とするのか明らかでない項目も多い。

 さらに、労働生産性をとってみても、1)物的労働生産性、2)価値労働生産性、3)付加価値労働生産性に分けられ、それぞれ次のような関係式で表わされる。

1)物的労働生産性=生産量÷従業者数
2)価値労働生産性=生産額÷従業者数=(生産量×製品価格)÷従業者数
                   =(生産量÷従業者数)×製品価格
                   =物的労働生産性×製品価格
3)付加価値労働生産性=付加価値額÷従業者数
            =(生産額÷従業者数)×(付加価値額÷生産額)
            =価値労働生産性×付加価値率
            =物的労働生産性×製品価格×付加価値率

 したがって、労働生産性は、生産量、生産額、従業者数、製品価格、付加価値額から成り立っており、これらはいずれも各社で計測可能なものである。また、上記の従業者数を従業者数×総労働時間と置き換えれば、労働者1人1時間当たりの労働生産性となる。

 また、“生産性”には、労働生産性の他にも資本生産性や全要素生産性、国民経済生産性などがある。とりわけ、全要素生産性は「技術進歩率」とも呼ばれ、イノベーションやそれによって引き起こされる労働や資本の質的向上、経営の効率性などを反映した生産性である。そのため、全要素生産性は労働生産性と並び頻繁に使われている。成長戦略というと日常業務とは乖離した存在に見えるかもしれないが、やはり日頃の企業活動の積み重ねが基盤となっているのである。

(撞球者)


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