主観客観

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廃業という選択肢

2014年7月3日

 全国で201件。2013年度に全国で発生した、「経営者の病気・死亡」による企業倒産の件数である。全体の倒産件数1万102件の約2%を占めるに過ぎない件数ではあるものの、対前年度比では113.6%と大幅に増加しているのである。人口の高齢化にともない、企業経営者の高齢化もまた進行しており、それが日本の社会・経済においてひとつのリスクになりつつあることを示すデータであると言える。

 こうしたデータに拠るまでもなく、企業経営には長期的な視野と、緻密なリスク管理が求められる。そして「自身の次」のことをどれだけしっかり考えられるかが、「良い経営者」たる重要な要素なのかもしれない。業績が堅調な企業でも、経営者の急な離脱や交代は大打撃になる。取引先や顧客に与える影響を鑑みれば、そうした事態に備えた対策は、常日頃から講じておいてしかるべきであろう。

 では具体的になにを考えればよいかといえば、大きくは「事業承継」「事業売却(M&A)」「廃業」の3つの選択肢に分けられる。まず、前者2つについては近年流行の言葉でもあり、なんとなくでもその検討の必要性を感じている経営者は多いのではないかと推測される。しかし、「廃業」については、自身がその当事者になるまで、その準備や進め方について考えたことのある経営者は少ないのではないだろうか。

 「廃業」は長期的に準備を行い、正しい手順で進めていけば、手元には資産を残し、取引先などへの影響も最小限に抑えることも可能で、円満な終焉を迎えられる手段となる。しかし、「廃業」は企業経営において文字通り「最後の手段」と認識されており、それゆえに検討を始めるのが遅くなる傾向にあるようだ。だが、全国のオーナー企業経営者のうち「70〜74歳」という高齢層においても、実にその4割以上で後継者が未定となっているという調査結果もあるとおり(2014年1月発表、「全国オーナー企業分析」帝国データバンク)、多くの経営者にとって、「事業承継」よりも「廃業」が現実的な検討事項になり得ることが考えられる。もし少しでもその可能性があるならば、できるだけ早い段階で準備に着手することが望ましい。漠然とでもイメージをつかむために、一度弁護士など専門家の話をきいておくのもいい。

 もちろん、本稿は「廃業」を積極的に推奨するものではない。しかし、なにが起こるかわからない長い人生だからこそ、将来への備え、リスク管理の選択肢のひとつとして、「円満」な「廃業」という手段も頭の片隅においていただきたいと思う。

(神高)

「特別企画 第3回全国オーナー企業分析」
http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/p140101.html

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