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今後の景気回復は賃金の上昇にかかっている

2014年8月5日

 7月31日、事業所規模5人以上を対象とした6月度の賃金動向が公表された(「毎月勤労統計調査」厚生労働省)。4月の消費税率引き上げにあたり、政府から経済団体に対して賃上げの要請が行われるという異例の経緯をたどったこともあり、今年の春闘においてはベースアップ(ベア)の実施を表明する企業も多く現れた。そのため、結果が反映される6月度の毎月勤労統計調査は非常に注目されていた。

 調査結果をみると、基本給にあたる所定内給与が前年同月比0.3%増と東日本大震災の反動で伸びた2012年3月以来、2年3カ月ぶりにプラスに転じた。また、残業代や夏のボーナス等を含めた現金給与総額は同0.4%増と4カ月連続のプラスとなった。そのため、賃金は少しずつだが上昇傾向にあると考えて良いだろう。

 しかしながら、消費者物価指数(総務省)は4月以降3%を超える上昇が続いており、6月は同3.6%のプラスであった(総合指数)。そのため、実質賃金は同3.2%の減少と大きく下げている。また、家計調査(総務省)においても、二人以上の勤労者世帯をみると、6月の実収入は実質で同6.6%減となっており、9カ月連続のマイナスである。さらに、税金や社会保険料を除いた可処分所得は実質で同8.0%減と11カ月連続のマイナスとなっている。

 消費税率引き上げ後、景気が回復軌道に乗るためには個人消費の回復が欠かせない。さらにそのためには、実質所得の増加が絶対的に必要な条件である。現状は物価が先行して上昇する一方、賃金の上昇はやや遅れている。当面は、経済の先行きに対する期待や株価上昇にともなう資産効果などで一部高額品の販売が好調に推移すると考えられるものの、現在の状況が続くとすると消費全体を押し上げる力にはなり得ないだろう。

 過去の物価と所得の関係性によれば、所得が上昇することなく物価が上昇を続ける、という状況は持続できない。したがって、今後は、(1)物価・所得ともに上昇する、(2)所得が上昇せず再びデフレに陥る、のいずれかの状況が想定されるであろう。経済が自律的に回復し好循環で回るためには、当然(1)の状況が望ましい。個人消費はGDPの6割を占めており、個人消費の回復なくして経済全体が自律的に回復することは起こりえない。今後の景気回復は賃金上昇にかかっているといえよう。

(撞球者)


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