主観客観

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野生動物が急減!…?

2014年10月3日

 9月30日、いくつかのメディアで「世界の野生動物が40年間で半減」という報道がなされた。各社の報道内容は、世界自然保護基金(WWF:パンダのマークでおなじみ)が同日に発表したレポートをもとに構成されていた。内容を要約すると以下の通り。

『1970年から2010年の40年間に、世界の野生脊椎動物の個体数が52%減少した。2年前の同レポートでは、1970年から2008年の38年間で28%減少していたと発表しており、減少ペースは年々早まっている。人類は自然資源を消費し過ぎだ…』

 これほど野生動物が減少しているとは…。私は危機感を禁じ得なかった。思えば産業革命以降、諸技術の急速な発展と、人口の急激な増加により、人類は膨大な量の自然資源を消費してきた。そして、ほんの40年のうちに野生動物が半減してしまうほど大きな影響力を持つに至っているのだ。

 そして、最も驚くべきは、直近の2年間で1970年時点の24%にあたる個体数が減少しているということだ。このペースでいけば、ほどなくして野生動物の大部分が失われてしまいかねない。しかし、ここで一つの疑問が浮かぶ。

――『いや待て、いくらなんでも急激に減りすぎではないか?』

 この疑問をもとに、WWFのホームページから当該資料を探した。同レポートの日本語要約版に目を通すと、少し違った表現がされていた。

『何千種におよぶ脊椎動物の個体群動態を計測する「生きている地球指数」(LPI)は、1970年から2010年の間に52%低下した。これは、(中略)個体数が、平均すると40年前の約半数になったことを示す。』

 つまり、「生きている地球指数」なる指数が半減したことをもって、個体数が半減したとしているということだ。この「生きている地球指数」について調べると、サンプルとなる個体群の増減をもとに、全体の増減を推計して指数化したものなのだそうだ。ここに2年間の急減の理由が隠されている。

 詳しく調べると、前回のサンプルは約2700種だったのに対し、今回は約3000種に増えている。そして、前回のサンプルはあまり個体数が減少していない温帯地域のデータに偏っており、今回は熱帯など個体数の減少が著しい地域のサンプルが増えたために、急激に「生きている地球指数」が減少したというのが真相のようだ。私は『直近2年間で過去38年間と同規模の野生動物が減少した』という大きな勘違いをするところだった。

 意図的に勘違いを誘っていたのなら論外だが、私自身も様々な資料を作成する立場として、他者にわかりやすい表現をしなければ、と改めて思った一件だった。

(Ti)


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