主観客観

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音楽への投資

2014年10月3日

 米アップル社のTVCMが気になる。iPhoneの最新機種を発売した9月、同社は大物アーティストU2の最新アルバムを音楽配信サービスのユーザーに無料提供するというCMを展開した。10代後半に同バンドの音楽を良く聞いていた私は心を動かされてしまった。

 通勤電車内ではイヤホンをしている乗客をよく見かける。お気に入りの音楽を携帯するための媒体は、カセットテープからCDやMDへと変遷し、現在は音楽ファイルが主流になっている。携帯端末が人びとに行き渡り、音楽ファイルのフォーマットなどの技術革新が続くなか、音楽配信市場は拡大傾向にあるのでは、という錯覚を私は起こしていた。

 ところが、統計資料をみると国内の有料音楽配信市場は苦戦していることに気づかされる。一般社団法人日本レコード協会の資料によると、有料音楽配信売上実績(年間)は2009年に909億8,200万円を記録したが、その後は減少傾向が続き同2013年では416億6,100万円にまで落込んでいる。

 CDなどのオーディオレコード総生産金額はここ10年で半減しているうえ、音楽配信サービス市場も減速。さらにレンタル市場や定額配信サービスの広まりなど、アーティストの収入が減少するリスクは散見される。そして、気がかりなのは次世代を担うアーティストの勃興への影響だ。今後、音楽市場が縮小していくとU2のような大物育成にはハードルが高まるだろう。

 コストカットの精神が企業経営から個人の消費活動にまで浸透している昨今、未来を充実させるための土壌づくりには目が向きにくい。音楽や芸術にしわ寄せが行かないことを望む。

(横井幸一郎)


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