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地域銀行への思い

2015年1月8日

 年賀状のやりとりを前職の上司と続けている。90年代後半に銀行を退職する直前、北関東の支店で融資係として勤務していた当時の複数の恩師である。年賀状に印刷された恩師の写真や筆跡をみると、融資係全員で深夜まで監督当局向け資料を作成した苦労などを思い出す。 

 この銀行は2000年を目前に経営破たんした。支店と顧客はエリアごとに受け皿銀行へ承継されたが、待遇を懸念して多くの行員は銀行を去った。私が勤務していた支店の融資係も全員同様の道を選んだ。 

 1940年代初頭、新潟県を地盤として同銀行は設立された。戦後の復興から高度経済成長期にかけて地域に根ざした金融機関として使命を果たしたほか、県外にも店舗網を整備して、県内の顧客(法人・個人)が首都圏に進出する際の架け橋となった。ところがバブル期に転機を迎えることになる。県内で集めた預金の運用として県外の複数の大型開発事業(ゴルフ場など)への融資を実施。その後、大口融資が不良債権化、自己資本比率の水準に鑑み当局が早期是正措置を発動した年に同銀行は経営破たんした。 

 それから15年あまりが経った。地域銀行を取り巻く経営環境はどのように変化したことだろうか。融資面では、中小企業金融円滑化法や同法期限到来後のいわゆる暫定リスケが続くなか、元本返済猶予により金利のみを支払い、抜本的な経営改革が進んでいない企業は少なくないとみられる。預金面では将来、相続により金融資産が地方から大都市へ移動するという、地域銀行の経営基盤を揺るがしかねないシミュレーションが各方面から出されている。

 このような環境のもと、連携・経営統合といった地域銀行の再編に関わる動きが活発化している。地域に対する思い、他行との統合への不安など現場の行員の気持ちは手に取るように分かる。銀行自体の生き残りも大切だが、「地域への貢献」という理念が担保されていくことを願う。

(週末高崎線)


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