主観客観

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電子図書館とは一体?!

2015年2月4日

 2014年10月末、札幌市電子図書館が電子書籍貸出サービスを本格化させた。これまでも電子書籍の貸出は行われていたが、札幌市中央図書館の1階館内のみの専用端末(持ち出し禁止)での利用に限られていた。しかし、これからは自宅パソコンやスマホからでも電子化されている書籍を閲覧することができる。公共図書館であるから、もちろん“無料”である。札幌市の図書館の貸出券を保有していれば利用可能となるので、現時点ですでに、約70万人に“無料版電子書籍”の閲覧権があることになる。 

 この電子図書館は、出版業界にとって、どのように付き合っていくべきか非常に悩ましい存在だ。2010年ごろから「もうすぐ電子書籍が普及する」と言われながら、なかなか普及しない状態が続いていた。最近、ようやく紙媒体から電子媒体へコミックを中心として電子化が進み始めた段階にある。といっても、紙で500円のコミックを、電子版でも500円で売るなど、出版物の価格破壊が極力起こらないように注意しながらの電子化を進めている状況だ。価格破壊が起こってしまうようでは、コンテンツを提供する出版社がいなくなってしまう。

 そこに、70万人という現ユーザー、そして札幌市の人口を潜在ユーザーとすれば、約200万人の潜在ユーザーを抱えたダウンロード代0円の“無料版電子書籍”提供サイトが登場したのである。「紙媒体の貸出と同じで返却期間を超えれば閲覧できなくなる」「誰かが借りている時は予約となり同時には閲覧できないようにしている」と“図書館の域”は出ていないとはいえ、出版業界にとっては受け入れ難い存在であろう。 

 当然、いまのところ、出版社側はコンテンツの提供に後ろ向きである。札幌市電子図書館のコンテンツは約3,400タイトルと政令指定都市の大型図書館としては非常に物足りない状況だ。現在、札幌市図書館以外にも、全国約30の公共図書館で電子書籍の貸出サービスを行っているが、1,000タイトルに満たない図書館が多い。しかも、著作権切れ書籍や資料集、教科書のようなコンテンツが大半を占め、人気がある書籍、流行の書籍は皆無と言ってよい。

 もっとも、出版社側の動きに関わらず、デジタル化の波は止められないと見る向きが多い。電子図書館は、図書館の仕組み、書籍流通の仕組みを根底から覆す可能性がある存在。全国的に広まりを見せるか、注目である。

(デジタリアン)


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