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就活戦線、「地方」を選ぶ選択肢

2015年7月3日

 私が大学4年生だった昨年、東京の大学に地方から進学していたこともあって、首都圏で就職活動をしていた。そのなかで地方出身の友人と相談する際、「Uターン就職」が話題に上ったことが何度かあった。私自身、東京で開催された故郷の自治体や企業などが主催する「Uターン就職説明会」に出席したこともある。

 Uターン就職とは、地方出身の学生が都市部の大学や専門学校に進学し、就職の際に故郷に戻ってくる就職形態を指す。学生にとっては、故郷で働き、地域に貢献できるチャンスである一方、自治体や企業は若い人材に就職・定住してもらうことで、人口減の続く地域の活性化に繋がるというメリットがある。人口流出とともに、人材・人手不足が叫ばれるなか、地方自治体などは企業と協同して、学生を対象にしたUターン就職の相談窓口を設けたり、Uターン就職した場合に一定の条件を満たせば、奨学金の返還を一部肩代わりする例もある。企業においても、特に全国展開をしている企業などは、「エリア職」などの地域限定職採用も行うなど、地方での就職を考える優秀な学生の囲い込みを進めている。地方への若年層の取り込みに、官民とも試行錯誤しているようだ。

 しかし、当事者である学生から見るとどうだろう。(株)マイナビが、2014年3月に発表した「2015年卒マイナビ大学生就職意識調査」によれば、学生の大手企業志向は2年連続で上昇したほか、「安定している会社」や「給料の良い会社」を企業選びのポイントとする学生も増えていた。多感な青春時代に、リーマン・ショックをはじめ様々な厳しい経済事情を目にしてきた昨今の学生たちは、私を含め、“大手志向”が非常に強い印象がある。

 さらに、同社が2015年4月に発表した「2016年卒マイナビ大学生 Uターン・地元就職に関する調査」によると、「地元(Uターン含む)就職を希望しない理由は何ですか」(複数回答)という項目において、「都会の方が便利だから」が40.1%で最多となり、続いて「志望する企業がないから」が35.7%に上るほか、「大手企業がないから」も20.2%を占めた。最も働きたいと思う都道府県の割合も、東京都と大阪府で4割強を占めている。

 こうした結果の背景に、少子化が続くなか、景気回復と人材不足という要素も加わった学生優位の就職活動で、「あえて給料も志望する企業も少ない地方で就職しなくても・・・」と考えてしまう、「売り手市場」側にいる学生の“驕り”が見えてくる。また、「地方創生」という政策の裏にある、不振にあえぐ地方経済というネガティブなイメージが、学生の地方への印象を悪くしているのは事実だろう。しかし、学生が都市部で就職することや「ブランド」「知名度」にこだわるあまり、企業と学生のミスマッチが生じ、双方とも思わぬ苦労を強いられる例が多いのも事実だ。

 こうして都市部の対極となり、どうしても存在が埋もれがちな地方だが、そうであるからこそ、若く優秀な学生を求める企業が、都市部だけでなく地方にもあることをより知ってもらうために、根気よく学生側にPRし続けることが大切だ。「我々は知っているものしか目に入らない」と、かつてあるドイツの文豪は言ったが、まさに学生は地方にどんな優良企業があるのか、地方で働くことの不安がいかに杞憂であるかを「知らない」のである。その学生の「色眼鏡」をどこまで変えていけるのか。それは自治体と地場企業の“魅せ方”にかかってくるだろう。 そんな私も、地元の優良企業がどこなのかを、社会人になって初めて「知った」のであるが。

(氷菓)


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