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猛暑と経済活動

2015年8月5日

 梅雨明け以降、うだるような暑さが続いている。気象庁は連日、全国各地で高温注意情報を発表しているが、7月27日〜8月2日の1週間に熱中症で救急搬送された人は全国で1万1,672人に上り、25人が死亡したという(消防庁「熱中症による救急搬送人員数」8月4日発表)。同期間の搬送者数は前年同期(5,712人)の倍以上に達し、2008年の統計開始以来最多となった。

 猛暑は健康と同時に、経済活動にも影響を与える。さまざまな研究機関で夏場の気温1度上昇にともなう経済効果が試算されているが、現場ではエアコンやビール、清涼飲料など夏の定番商品だけでなく、紫外線対策商品やスキンケア商品などの売れ行きも好調だ。また、屋内型のテーマパークやプールの利用者も増えているという。一方で、屋外型施設における入場者数減少のほか、秋以降の消費下押しが懸念されるなど、猛暑効果にはプラスマイナス両面がみられる。

 ところで、厳しい暑さは不快感や疲労を引き起こすため、人びとの時間配分にも大きな影響を及ぼすことになる。特に、気温が職場に与える影響は無視できないであろう。
 Graff Zivin and Neidell(2014)の研究によると、職場が気候の影響を受けやすい産業(農業、建設業、製造業など)では、日中の最高気温が37度以上の日には、24度〜26度の時と比較して労働時間が59分減少するという。労働時間の減少は特に日没前2時間から夜中にかけての時間帯で顕著にみられるが、これは労働者に暑さによるダメージが蓄積されることによって、労働の限界生産力が低下(あるいは限界費用が上昇)するためと推測されている。

 また、気温と屋外レジャーに関して逆U字型の関係が知られているが、この傾向は気温の変化に対する適応行動として捉えられる。上記の研究では、人は活動を気温が高い日にはより涼しい日まで延期する、一日のうちのより涼しい時間帯に移動させることなども確認しており、環境要因が労働市場において果たす役割の重要性を改めて浮き彫りにしている。

 猛暑と経済の関係というと消費活動に注目しがちであるが、労働者の生産性や人びとの行動変化にも目を向けると、従来とは異なる働き方が見えてくるのではないだろうか。

・Graff Zivin, Joshua and Matthew Neidell, “Temperature and the Allocation of Time: Implications for Climate Change”, Journal of Labor Economics, vol.32 no.1, pp.1-26, 2014

(撞球者)


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