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引き算の戦略

2015年10月5日

 先日自宅パソコンのOSをアップグレードしたところ、とたんにそれまで快適に使用していたインターネットやソフトウェアの動作が重くなり、著しく不都合をきたした。2年落ちのパソコンで動かすのは厳しいようだ。慌てて元のOSにダウングレードしたが、一度パソコンを初期化して再度OSをインストールするなど、非常に手間が掛かった。

年々性能がアップしているにも関わらず、パソコンの動きは常に遅く、Webサイトは常に重い。ソフトウェアやWebの機能拡大といたちごっこになっているためであるが、結果としてユーザーの使い勝手はまったく向上していないように感じる。

改めて見てみると、オフィスソフトには文書作成に関係のないアニメーション機能などが追加されており、Webサイト上には見るつもりのない動画が勝手に表示されている。試しにオフィスソフトのおせっかい機能をOFFにし、Webブラウザのアドオン等をできる限り無効にしたところ、快適度はかなり向上した。

過剰な機能・品質・サービスがかえって利便性を損なっている事例は、様々な分野で見受けられる。もう少しレベルを落としても良いので価格を下げてほしいと感じる製品・サービスも少なくない。
背景には作り手側の「品質は高いほど、機能は多いほど良い」という足し算の発想や、エンドユーザーよりも自社の営業上の都合や同業他社を気にしてしまう体質があるように思う。その結果、商品・サービスは横並びとなり、ユーザーに刺さるものが少なくなった。

そのような世相を反映してか、近頃「引き算の戦略」、「引き算のマーケティング」といった言葉をよく目にする。ターゲットを絞り、あえて機能を減らす戦略が注目されているのだ。
しかし、同業他社があれもこれもと付け足すことで顧客を引き留めようとする中、自社だけ引き算の戦略を取るには勇気がいりそうだ。また大きな組織が会議により意思決定する場合には、大勢の意見が入り込み、どうしても足し算の発想になってしまう。世にあるシンプルで斬新な製品・サービスの開発物語を聞くと、裏にはビジョンあるリーダーの決断があることが多い。

そのように考えると、引き算の戦略は、経営資源は限られるが経営者のリーダシップが発揮されやすい中小企業と相性が良いのかもしれない。

(K.H)


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