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医薬品業界の爆発的ヒット商品

2016年1月8日

 「画期的なC型肝炎治療薬の販売開始により特需が発生している」(医薬品卸売)。12月のTDB景気動向調査でこのようなコメントが複数寄せられた。いま、C型肝炎治療薬が爆発的ヒットを飛ばしている。2014年世界の医薬品売上高ランキングで第2位に躍り出たのが、2013年に発売された米ギリアド・サイエンシズの「ソバルディ」である。

 日本では2015年5月に販売が開始され、同年7〜9月期には432億円を売り上げ、医家向製品の国内製品別売上ランキングでいきなりトップに立った(IMSジャパン「IMS医薬品市場統計」)。これまで、同ランキングは血液の血栓・塞栓を抑制する「プラビックス」が9四半期連続でトップを維持していたが、突如追い抜いた格好だ。

 同薬は治療期間が12週間に短縮され、治癒率も90%を超える。従来は長ければ数十年にわたり薬を飲み続けなければならないこともあり、画期的な新薬と言われるゆえんである。完治までにかかる治療費は保険負担を含め総額で500万円を超える。しかし、これまでの治療期間にかかる医療費や仕事復帰にかかる時間、病気による苦しみ等を考慮すると、12週間で治癒させることを選択する方が多いのだろう。

 このような急激な売り上げ拡大を受け、厚生労働省は昨年12月の2016年度薬価制度改革で、年間販売額が1,000億円超かつ予想販売額の1.5倍以上など一定の条件を満たす医薬品について、特例的に最大で5割の価格引き下げを行う(特例再算定)という仕組みの導入を決めた。これは「ソバルディ」などを対象候補としているが、国内製薬メーカーからも「イノベーションを阻害する」といった反発も出ているという。

しばしば、想定外の新製品などがヒットすると、このような規制をかけるようとする動きが出てくる。今回は、医療の財政負担軽減とともに患者の窓口負担の軽減を図るとしている。しかし、それにより新商品開発が阻害されてしまえば、結局は患者の苦しみが長期化するだけである。どちらを向いた政策なのか。日本経済の成長を阻害する要因はこのようなところにあるのかもしれない。

(撞球者)


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