主観客観

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ニッチな分野で存在感を放つ商品

2016年4月5日

 我が家にアレがやってきた。恥ずかしながら、少し前までこの現代社会に存在することさえ知らなかった。大昔や戦後の時代ならいざ知らず、この現代日本で猛威をふるっているとは驚きであった。子供を持つ友人から「保育園で流行して大変だった」と聞き、対岸の火事だと思っていた。わが子が通う保育園でポツリポツリと発生しては消えていくのを昨年あたりから耳にするようになり、共同生活であるがゆえ「そのうち感染することもあるだろう」と心の準備はしてきた…つもりだった。それでも、幼いわが子の頭にアレがいるのを発見した時はその姿のおぞましさに鳥肌がたち、一掃に向けたこれからの戦いを憂いて呆然としてしまった。

 前置きが長くなってしまったが、娘に「アタマジラミ」が発生したのだ。念のため私と息子も病院で調べてもらったが、診断を受けたのは娘だけであった(と、このコラムを読む我が同僚の人たちにはぜひともお伝えしたい)。薬が処方されるのだと思っていたら、「近くのドラッグストアで○○○を購入して、2日おきに3〜4回洗ってください」と言われて、診察は終わった。

 その○○○とは、シラミ駆除の専用シャンプーのKINCHO(大日本除虫菊株式会社)の「スミスリンシャンプー」である。病院の帰りがけにドラッグストアで買ったものは1本3,000円もする、シャンプーとしては比較的高価なものであった。家庭内で感染が広がっては困ると、娘の駆除が完了するまでは家族みんなが同じシャンプーを使うことに決めたため、4本を購入。背に腹は代えられないと、アタマジラミ専用の目の細かい櫛も併せて買ったため、シラミのために1万5,000円ほどを投資することとなり、手痛い出費となった。

 2月に発表された総務省「家計調査報告」では、勤労者世帯の2015年可処分所得が前年比0.1%減と横ばいだったのに対し、消費支出は実質2.1%ダウンと減少している。使えるお金はほぼ変わらない一方で消費は減っており、節約意識は根強いようだ。私も家計を預かる主婦として、常日頃より節約を心がけ出費を抑えるように努めているが、それでも今回のような状況では、駆除という目的を一刻も早く果たすために相応の出費は致し方ないと覚悟を決めた。至極当然のことであるが、望む望まないに関係なく需要が生まれれば、消費は必ず促されるのだ。

 今回の件では、医師から商品名そのものを告げられ、買うように促された。また近所のドラッグストアでも駆除用品はその1種しか置かれておらず、ネットなどで調べれば同様の別商品を購入することもできるが、今すぐに必要というその場の状況では、選択肢としてその商品以外にはなかった。シラミにかかれば、多くの人が必要に迫られてシャンプーとしては高額なその商品を購入することになる。スミスリンシャンプーは、シラミ駆除というニッチ市場において、大きく存在感を放つ商品であった。

(星月)


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