主観客観

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すぐ効く、よく効く

2016年10月5日

 「保育所」というハードの数がどんなに増えても、ソフト面を担う「保育士」が足りなければ、保育を行うことができないという当たり前の現実。今、保育の現場はこうした現実に直面し、抜き差しならぬ状態になっているのではないかと感じている。

 子供を保育園に預けて働いている。私が暮らす市は子育てしやすい街づくりを掲げ、PRしていることもあり、乳幼児を育てるファミリー層が多く住む。東京23区内に通勤可能ななかでは、近隣の市町村に比べ比較的保育園に入りやすいとの情報を得て出産直前に引っ越し、子どもを入園させ無事に仕事復帰を果たした。その後第2子も生まれ同じ保育園に入ることができ、その保育園へ通うのも7年目に突入。この間、近隣に認可保育園が次々と新設されていった。我が子が通う保育園でも、毎年のようにグループ園が新設され保育士が相応数移っていくほか、一昨年にはすぐ近くに乳児専用の分園を作り0〜2歳児を受け入れた。さらに昨年にはその子たちが3歳児になった時の受け皿として当園自体の増築工事を済ませ、幼児クラスの定員を増やした。保育園不足が叫ばれるなか、国が押し進める待機児童対策に市も応じ、当園も懸命にその施策に寄り添っているように見えた。

 しかし、当園および分園より進級してくるたくさんの幼児に保育士を充てるため、乳児のほうを担当する保育士を確保することができなくなり、結果として0歳児や1歳児の定員数が減るという皮肉な状態に陥っているのだ。むろん保育士の募集は絶えず行っているようだが集まらず、それは近隣一帯の他の園も同様であるという。

 東京都の小池都知事は、2016年度予算で待機児童対策に100億円超を投じる補正予算案を議会へ提出した。すぐ効く、よく効く補正予算で…と知事は話すが、金銭を投じて施設を建設することは比較的実行しやすいとしても、保育士の確保、そして定着は一朝一夕にできることではない。実際、保育の現場では保育士不足が深刻であり、増えていく一方の保育園数に対して保育士の数が追い付かず、せっかくの保育園増加の効果が十分に発揮できていない。

 現代日本が直面する数々の課題に対して、すぐ効くよく効く対策は、存在しないのではなかろうか。じっくり腰を据えて、時間をかけて施策を講じて、ようやくと効いてくるものなのであろう。それは会社経営にもおいてもおそらく同様で、すぐ効くよく効く対策を求めても見当たらず、効果的な対策とは、時間をかけて行う地道な行動からしか生まれてこないものなのかもしれない。

(星月)


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