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ご当地アイドルは地方経済を救えるか

2016年11月4日

 「アイドルは不況の時代に輝き、好況になると光を失う」といわれる。これは1970年代から経験則として観測された現象だが、現在、いわゆる“ご当地アイドル”が花盛りである。

 日本ご当地アイドル活性協会によると、東京を除く46道府県にご当地アイドルは763組あるという(2016年6月時点)。なかにはメジャーデビューを果たすグループも存在するが、多くは地元に根を張り活動を続けている。あるいは、AKB48の姉妹グループとして2015年に新潟県で結成されたNGT48のような、全国区のアイドルから派生したグループもみられる。

 ご当地アイドルにとって、それぞれの地域にその地域特有の文化があり、それが新しい文化を開かせるための土台、いわゆる「場所の文化資本」が必要とされる。地域経済学の分野では、地方の中核都市が新幹線や高速道路で東京や大阪など大都市と結ばれると、便利になるのと裏腹に人が大都市に移動してしまうという「ストロー効果」が知られている。しかし、ご当地アイドル市場においては逆の現象が起きることもあり、「逆ストロー効果」とも呼ばれる。

 青森のご当地アイドルは、ご当地アイドル日本一を決める「愛踊祭〜あいどるまつり〜2016」で優勝し青森のりんごをアピールした。また、静岡県沼津市のご当地アイドルは、経済産業省の「ジャパン・コンテンツローカライズ&プロモーション支援助成金(J-LOP)」制度を通じてフランス・パリで沼津市への観光誘致を展開した。ご当地アイドルの発信力は、郷土愛や地域おこしを高める重要な力となっている。

 いま、ご当地アイドルを支えているのはコアなファンたちである。コアなファン層は、9割が男性で、年齢別でも30代男性と40代男性の2つの集団で8割近くに達するとみられており、中高年男性が中心となっている。そして、ご当地アイドルを継続するためのビジネスモデルは、コアなファンから効率的に利益を上げる手法を追及していくことが主流となっている。つまり、ビジネスという面からみると、現在のご当地アイドル市場は長らく続いてきたデフレ対応型のビジネスモデルを採用しているのである。

 景気の回復期には人々は多くのレジャーを楽しむようになり市場全体が膨らむ一方で、コンテンツ同士の競争は激しくなる。そのため、コアなファンだけに頼るのではなく、ファミリー層や若年層、女性など一般のファンをより多くライブ会場に呼び込むための仕組み作りが重要となってくる。
 今後訪れるであろうポストデフレ時代にそぐわないビジネスモデルになるといわれる所以である。ご当地アイドルに新たなビジネスモデルが生まれたときは、地方経済が回復に向かったときといえる。ご当地アイドルの動向は経済動向をみるひとつのバロメーターとして捉えることもできるだろう。

 

(撞球者)


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