主観客観

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送料無料の功罪

2016年12月5日

 便利な世の中になったとつくづく思う。ある日の晩、子供がやっと寝付いた21時、小学生の我が子の連絡帳が残り1ページしかないことに気づいた。でも、慌てる必要はない。スマートフォンから大手家電量販店のインターネットサイトで購入できるからだ。翌日、指定した20時を少しまわったタイミングに玄関先へ届いた。送料は無料。こちらのサイト、鉛筆1本、ノート1冊であろうと送料はかからない。さすがにノート1冊での配送は気が引けるので、ちょうど買おうと思っていた絵の具2色と、近所のスーパーの棚から消えてしまったお気に入りのコーヒーも購入したが、ノートと絵の具を翌日20時着で、コーヒーは取り寄せ次第、別途発送してくれるという。それでもやはり送料は無料だ。同じワーキングマザーの友人からこのサイトのことを教えてもらって以来、非常に頼りにしている。店舗で買うのと同じくポイントも付くので、なお嬉しい。

 しかし、こうした利便性をありがたく享受する一方で、「採算は取れているのだろうか。そもそもビジネスとして成立しているのだろうか」との疑問が浮かんだ。前述のサイトでも「只今キャンペーンで全品、日本全国、配達料金無料でお届けいたします!」とあるので、おそらく戦略的視点から今は送料無料としているが、いつの日か終了する時がくるのだろう。そして思い起こされるのは、全品送料無料が終了したAmazonのことである。サービスを受けるのであれば、対価を支払わなければならない。インターネットで購入した物が短時間で自宅へ届くまでには、多くの企業や人々が介在しているのであるから、対価として相応の金額を支払うのは当然である。しかし、送料無料を喜び、いつしかそれに慣れ、あたりまえのサービスと勘違いしてしまい、正当な対価である送料をいつの日か要求された時には、いかばかりか落胆し、抵抗感を感じるのは私だけではないだろう。

 送料無料のほかにも、即日配送、時間帯指定、再配達などインターネットショッピングの利便性は格段に改善されてきている。しかしこうした半面、短期間配送やきめ細かなサービスを陰で支える宅配ドライバーの負担が増大しているという。国土交通省の宅配便取扱個数によると平成27年度は37億4500万個で、この10年間で8億個近く増加している。しかし人手不足が深刻化する昨今、ドライバー確保は宅配業者の切実な問題の一つだろう。

 時代は移りゆく。少子高齢化が進む今後、気軽に店舗へ行けない高齢者のニーズを取り込みネット通販の市場は一層拡大していくことだろう。また、IoTやAI、自動運転などのさまざまな科学技術の進展は、「送料無料」にどんな影響を与えていくのだろうか。しかしそれはまだ先の話であるので、我々消費者は節度を持って、この便利なシステムを享受する必要があるのかもしれない。

 

(シマウマ)


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