主観客観

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「アニメ」×「地方創生」

2017年2月3日

 近年、「アニメ」に関連して町おこしを行う地域の話題が増えてきたように思う。そうした地域の多くは、アニメの中に実在地として出てくることが多い。例えば、原作者の所縁の地であったり、もしくはアニメのテーマにピッタリな土地柄だったりと、登場の由来は千差万別だが、その中でも近年「最も」アニメによって一躍全国区で有名となり、地域活性に成功した町と言えば、恐らく「茨城県大洗町」ではないだろうか。

 大洗町は太平洋沿岸に面する小さな港町だ。この港町に多くの観光客が集まるきっかけとなったのは、2012年に放映されたアニメ「ガールズ&パンツァー」が大ヒットしたことに他ならない。同作品は「女子高生×戦車」という異色の組み合わせを描いた青春アニメであり、「名物の“あんこう”」という街の名産から戦車のエンジン音に至るまで精緻に描かれており、これがミリタリーファンのみならず一般視聴者にも受け入れられた。16年に公開した劇場版映画もヒットし、実際に登場した街並みや商店を「聖地」と称して訪れるアニメファンも増加した。

 たかが「アニメ」だが、されど「アニメ」。同作品がもたらした経済効果は凄まじい。例えば、沿線を通る鹿島臨海鉄道は同作品に関連したラッピング列車などを運行したところ、列車を一目見ようと観光客が殺到。入場券などの売り上げが増加し、16年3月期は2期ぶりの経常黒字となった。また、大洗町で行われた「第20回 あんこう祭り2016」には全国各地から過去最高の約13万人を動員し、観光客だけでなく出展者となる地元住民も同作品のキャラクターに扮して参加するなどして大いに賑わった。
 最近では、「ガールズ&パンツァー」の特集ステージなどがない日でも多くの人で賑わうなど、「アニメ」の魅力だけではなく「大洗町のファン」となって来訪した観光客も増えたようだ。

 しかし、「アニメ」を利用した町おこしは、安易に成功できるものではない。元々、こうしたアニメは番組の少ない深夜帯に放映されることが多く、視聴者が限られるうえにヒットの予測も難しいからだ。16年夏に公開されたアニメーション映画「君の名は。」や怪獣映画「シン・ゴジラ」においても、ヒットの目安となる興行収入が当初予測された数字を実際の収入高が遥かに上回ったことを見ても、その予測の難しさが分かるだろう。放映されるアニメのヒットを前提とした町おこしは、もちろん、地域振興のきっかけとして広まっていくのは一アニメファンとして喜ばしいことだ。しかし、アニメのヒットに頼るだけでなく、地域の魅力を将来の「観光客」へ伝える努力を続けなければ、一過性の賑わいで終わる可能性もあることを、心に留め置いておくべきであろう。

 

(氷菓)


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