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思い出の廃墟

2017年7月5日

 廃墟探訪という趣味のジャンルがある。とあるブログで気になる写真を目にした。廃墟となった遊園地である。そこには崩壊した遊具・アトラクションやモニュメントなどが掲載されていた。その遊園地はかつて群馬県高崎市の丘陵地にあった。同所は「新日本高崎子ども博覧会」(1952年)の終了後、市営遊園地を経て民間企業が承継した。1969年には流れるプール「カッパピア」(カッパ・ユートピア)が完成、キャッチーなプール名はいつしか遊園地全体の愛称となり、ピーク時には年間60万人の集客を誇ったようだ。家族、友だち、カップルがこの遊園地で思い出をつくったことであろう。

 しかし、バブル期を経てレジャーの多様化が進むなか、設備の経年劣化も足かせとなって集客力は低下、最終的に年間入園者数はピーク時の6分の1、10万人程度に減少していた。ファンに惜しまれつつ、カッパピアは2003年10月に閉園。運営会社の高崎フェアリーランド(株)は2004年2月に破産手続きに入った。その後、遊園地は廃墟化、不審火も発生し報道でも取り上げられた。こうして多くの人の思い出をつくった施設は朽ち果て、件のブログに掲載されることになった。

 その後、高崎市が遊園地の土地・建物・遊具などの所有権を取得、子育て拠点の公園開設にむけた整備に入る。建物撤去などを経て、海外メーカーの遊具を設置した遊び場として一部エリアが2016年にオープン。そして今月17日、新たに子どもむけプールを完備したプールエリアが開業する。かつてカッパピアで思い出をつくった団塊ジュニア世代がその子どもたちを連れてにぎわう姿が目に浮かぶ。

 事業再生の成否は経営資源の質にかかっていることが多い。経営資源には有形無形の項目があるが、「思い出」もそこに含めることができるだろう。「モノより思い出」というフレーズをここぞとばかりに持ち出すつもりはないが、「モノ」に比較すると「思い出」は経年劣化への耐久力があるように感じる。その意味では、思い出づくりのための行動に投資することも悪くないかもしれない。

 

(週末高崎線)


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