主観客観

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ニュータウンのその後

2017年7月5日

 新聞を眺めていたら、よく知る地名が目に飛び込んできた。住宅地の地価下落率で、実家のある地域が全国ワーストとして掲載されていたのである。ワーストというのはさすがに驚いたが、一方で納得感もあった。

 実家があるのは、電鉄系不動産会社がバブル前の1980年より分譲を開始した郊外の典型的なニュータウンである。とある河川敷近くの広大な土地に建てられたおよそ1,600の戸建住宅からなり、街の中心には同電鉄系スーパーや大手銀行の出張所を核とした商店街が作られ、地域の行事が開催される大きな公園が隣接。私が通った小学校は児童数増加にともない新設された学校で、夏休み明けの始業式には転入児童が体育館檀上の端から端までびっしり並んで一人ずつ挨拶することが恒例となっていた。児童数は年々増加し、最終的には全校生徒数が1,100人を超えるマンモス校であった。

 「都内に通勤する夫と専業主婦の妻に幼い子ども」という同世代のファミリーが一斉に入居し、地域の行事なども盛大に行われ、当時の街は活気に溢れていた。しかしその後30年が経過すると、私を含め子供たちはみな巣立ち、住み替えによる新陳代謝もあまり進まず、住民の高齢化が一気に加速。少子化も手伝って、母校の生徒数は最盛期の4分の1となり、キーテナントであったスーパーや銀行も商店街から撤退していった。10年ほど前に開通した近くを通る私鉄の駅前に次々とマンションや商業施設が建ったことも追い打ちをかけ、最寄り駅から車で10分ほどかかる当地域は、残念ながらこの度全国でワーストとなったのである。

 総務省の「平成25年住宅・土地統計調査」によると、2013年10月時点の総住宅数は6,063万戸で前回調査の5年前と比べ304万戸(前回調査比5.3%増)増える一方で、空き家も820万戸と5年前に比べて63万戸(同8.3%増)増加。空き家率(総住宅数に占める空き家の割合)は13.5%となり、空き家数・空き家率ともに過去最高となった。
 7〜8戸に1戸が空き家という我が国において、実家のある地域も一層進む住民の高齢化を受け、今後徐々に空き家が増えていくことだろう。願わくはいつかまた活気あるあの頃に戻ることを期待したいが、少子高齢化や人口減少が進むこの日本において、駅から遠い当地域が復活を果たすのは難しいという考えに至らざるを得なかった。

 巣立っていった子どもである私はと言うと、前述の実家近くを通る私鉄の沿線に住んでいる。こちらは次々とマンションなどが立ってファミリー層が集まり、小学校の新設や増築などが行われ街全体に活気がある。双方の対比を見ていると、なんだか感傷的な気分になってくる。同様の思いを持つ方も多いのではないだろうか。

(シマウマ)


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