主観客観

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男性の育休取得が働き方に与える変化

2017年8月3日

 男性の育児休業取得日数は5日間程度が中心だという。そうしたなか、2016年度に育児休業制度を利用した男性は3.16%という調査結果が公表された 1。依然として低い水準であるが、男性の育休取得者割合は過去最高となっている。ところが、約3割の男性が育休の取得を希望しながらも利用できていないこと 2や、政府の目標(男性の育休取得率を2020年までに13% 3, 4)と比較しても、この乖離は大きいといわざるを得ないだろう。

 しかし、個人として取得したいという考えの一方、働いている職場との関係で、育児休業の制度利用を躊躇することもあるのではないだろうか。こうした統計や資料を見ていたなかで、最近、男性の育休取得に関して非常に興味深い論文 5を読む機会があった。そこでは、男性が育休を取得する前後で、働き方に対する行動や意識が大きく変わることが統計的に検証されている。

 上記論文によると、第1子誕生後に育休を取得した男性は、取得から1年後の働き方として、仕事をチームで細分化したり、共有する行動を積極的に行うようになるほか、定時で退社し勤務時間を短縮する意識を高める傾向が表れてくるという。つまり、育休取得者は単に早めに帰宅するだけでなく、業務効率を上げることで、生産性を保ったままワークライフバランスを実現しようする方向に行動が変化するようだ。また、育休中に家事・育児を積極的に行うことは仕事の進め方を改善する要因になるという。
 
 第1子誕生後の働き方について、育休取得者と育休を取得しなかった人を比較すると、育休取得者は不要なミーティングを減らしたり、手順や手続きの簡略化を図るように行動し、効率よく仕事をするという特徴がみられている。
 
 さらに、男性の育休取得はキャリア形成にも影響を与える可能性があることも示唆されている。特に、育休取得後は、会社への帰属意識や好感度が高まる一方で、転職への関心度にはあまり影響しないという傾向もある。

 男性が育児休業制度を利用することで、企業は一時的に人手不足を生じることになるかもしれない。また、これらの結果には個人差があることはいうまでもないであろう。しかし、働き方に影響を与える男性の育休取得後の行動や意識の変化は、企業にとってもプラスの効果をもたらす可能性が高いといえるのではないだろうか。


1 厚生労働省「平成28年度雇用均等基本調査(確報版)」2017年7月28日公表

2 厚生労働省「今後の仕事と家庭の両立支援に関する研究会報告書」2015年8月7日公表

3 「少子化社会対策大綱〜結婚、妊娠、子供・子育てに温かい社会の実現を目指して〜」2015年3月20日閣議決定

4 「未来投資戦略2017−Society 5.0の実現に向けた改革−」2017年6月9日閣議決定

5 長沼裕介、中村かおり、高村静、石田絢子「男性の育児休業取得が働き方、家事・育児参画、夫婦関係等に与える影響」New ESRI Working Paper No.39, 2017年3月

 

(撞球者)


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