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“独身税”騒動

2017年9月5日

 9月1日、“独身税”という言葉がネット中を駆け巡った。
 ある地方自治体が総合戦略推進計画の一環として進めている、子育て世代の女性が街づくりに参画する市民参加プロジェクトと財務省との意見交換の際、そこに参加していた一般市民から子育ての費用を独身者にも負担してもらうことはできないか、という発言があったという。これは市民から1つの意見が発せられただけであり、その地方自治体が独身税を徴税する予定もなければ、国の税制改正論議で独身税構想が出てきたわけでもない。

 “独身税”とは、一定年齢以上の独身者に課税される税金のことである。過去には、1968年から1989年までのブルガリアで少子化対策として独身者の収入に5〜10%が課税されていたほか、旧ソ連では子供がいない夫婦や独身男性に賃金の6%が「子なし税」あるいは「独身税」としてかけられていたことがある。いずれも少子化を止める効果は確認できなかった政策である。

 しかし、メディアが報じた見出しでは、当該自治体が“独身税を財務省に提案した”と受け取られかねない表現になっていた。記事を読めば、市民からの質問だったことが分かるのだが、個人への誹謗・中傷が拡大し、その結果、この市民参加プロジェクトのホームページやFacebookなどのSNSが閉鎖・削除に追い込まれることとなった。

 このような事態が起こってしまった理由考えてみると、いくつか思い浮かぶ。
 1.市民参加プロジェクト名が実在する部署名と誤解された
 2.メディアの見出しにより、地方自治体が財務省に公式に提案したと受け止められた
 3.記事を精読することなく、見出しに反応したことで、当該自治体へのクレームやSNSなどでの誹謗・中傷につながった
 4.地方紙の小さな記事であったが、ネットに掲載され全世界の人が読者となってしまった

 これらの要因が複合的に絡み合った結果として、自治体の当該市民参加プロジェクトのホームページが炎上してしまったのではないだろうか。

 この地方自治体は経済誌の「住みよさランキング」で上位にあげられている街でもある。今回のようなことで、自治体が行うさまざまな取り組みが萎縮しないことを願うばかりである。

 

(撞球者)


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