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人手不足ではヒトへの投資を効果的に

2018年1月12日

 人手が不足していると考える企業が51.4%となり、ついに半数を超えた。これは、2017年12月のTDB景気動向調査における正社員の雇用過不足状況に関する回答結果で、同質問を始めた2006年5月以降で最も高い割合となった。

 人口推計(総務省)によると、生産年齢人口(15〜64歳)は1995年に8,726万人で最多となったが、2017年には7,596万人まで減少した。つまり、ピークからの22年間で1,130万人減少したことになる。
 さらに、将来についても、10年後の2028年には7,014万人、20年後の2038年には6,181万人まで減少すると予測されている(国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成29年推計)」)。日本における人手不足の状況は、このままでは今後も続いていくと考えておくべきであろう。

 こうした状況もあり、景気を悪化させる懸念材料として「人手不足」をあげる企業が急増している(帝国データバンク「2018年の景気見通しに対する企業の意識調査」)。人は、企業経営においてはヒト・モノ・カネという経営の三要素であり、マクロ経済においては労働・資本・技術進歩という経済成長の源泉となる。したがって、人口の減少は、経済基盤を大きく揺るがす事態といえよう。こうした事態を回避するため、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)などを活用した、自動化・省力化に向けた取り組みは一段と加速するとみられる。

 一方で、人口の数だけをみていては捉えられないこともある。労働力は、人数という量や労働時間だけではなく、各人の持つスキル(質)から計測される。そのため、人口減少や長時間労働の是正が進むなかでは、労働の質を高めることが欠かせない。
労働の質は、教育や企業内職業訓練などによって高まると考えられる。労働の質が高まることにより、労働者の生産性が高まり、高付加価値の商品・サービスを提供することが可能となる。しかし、労働生産性をいかに高めるかは、各社・各人にゆだねられているところが大きいのが現状である。

 企業はさまざまな工夫を重ねながら従業員のスキル向上を図っているが、“ナッジ”を駆使することでより効果的となろう。“ナッジ”とは行動経済学で「肘で軽く突く」という意味で、情報提示の仕方や選択肢を適切に設定することで、本人が意識することなく望ましい選択へと誘導することである。例えば、社内表彰制度では、インセンティブに金銭ではなく経験(旅行や食事券2人分など)を支給した方がスキル向上の努力は長く継続することが知られている。また、新入社員のために簡単なチェックリストを用意したことで、研修期間を1カ月短縮することに成功したという事例もある。これらは、何ら強制することなく、従業員の背中を少し押しただけで、効果を高める方法といえるのではないだろうか。
 労働の質は、1970年以降、緩やかながらも向上している。今後も人手不足が続くとみられるなかで、ヒトへの効果的な投資の重要性が増していることは間違いない。

(撞球者)


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