主観客観

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日本一なつかしい遊園地の吸引力

2018年1月12日

 この正月、群馬県前橋市の遊園地「前橋るなぱあく」を訪れた。開園は1954年で日本一なつかしい遊園地をコンセプトにしている。前橋るなぱあくは愛称で正式名称は「前橋市中央児童遊園」。前橋市が長年に亘って運営した後、現在は民間へ運営委託している。正月休みのなかで遊園地は子育て世代で賑わっていた。同園は日本一安い遊園地と評されることもある。確かに私たち家族三人の遊具代は合計1,000円に満たなかったが、充実した時間を過ごせた。4歳になった我が子の記憶にとどまれば幸いと思う。

 同園のアトラクションや遊具の数は決して多くはなく目新しさにも欠ける。素朴な運営ながら2016年度の来場者数は開園以来、最高記録となる146万人を記録したという。その魅力は何であろうか。想像するなかで、モノ消費とコト消費のキーワードが思い浮かんだ。モノ消費が商品などの所有に価値を置く消費傾向、それに対してコト消費は体験的価値にお金を払う消費傾向を示すといわれる。ひと言で体験的価値といっても幅広いニュアンスがあるだろう。そのなかには懐かしさも含まれるのではなかろうか。

 最近、JR東日本のスキーツアーのプロモーションでは30年程前にスキーブームを巻き起こした映画「私をスキーに連れてって」(1987年)をモチーフとし、メディアでは「バブリーダンス」が度々取り上げられるなど、バブル時代のキーワードがマーケティングなどに利用される事例が目につく。1980年代後半に思春期を過ごした第二次ベビーブーム世代の人口を考慮すると訴求力は小さくないだろう。1990年前後のバブル時代がモノに対する消費意欲を必要以上に刺激したとみた場合、その崩壊を目の当たりにし、少なからず被害を受けた身からすると、モノ消費的バブルの再来は歓迎しない。しかし、30年程の昔話となったバブル時代の文化を、現在、コト消費として懐かしむのは悪くないかもしれない。懐かしさは人の心に響き高揚感を与えることがある。

 私は幼少期にるなぱあくを訪れたことはないが、同園の雰囲気にはなぜだかノスタルジーを感じた。ここで幼少期に遊んだ実体験がある人はもちろん、遊園地の原風景の記憶を共有している世代にも、この遊園地の素朴さは琴線に触れるかもしれない。それが、集客の原動力の一つになっているのではなかろうか。

(週末高崎線)


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