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生産緑地の2022年問題

2018年2月5日

 テレビやインターネットで、度々「○○年問題」という言葉を目にする。将来起こり得る社会問題に対してそうした名称が付けられ、かつてコンピュータが誤作動を起こす可能性があるとされた「2000年問題」が世間を騒がせた。

 数ある「○○年問題」のなかで、最近注目しているものは、不動産市場の「2022年問題」だ。2022年以降に都市部において住宅用地が大量に放出され、土地の需給バランスに影響を及ぼす、というものである。

 この話の根幹には、生産緑地という制度が関係している。生産緑地とは、都市における良好な生活環境の確保などを目的として、市街化区域内に指定された農地のことである。土地の所有者に30年間の営農を義務付ける代わりに、固定資産税が軽減されるなど、税制上の特例措置が受けられる。この制度は1992年に改正された生産緑地法に基づいており、生産緑地は2022年以降、順次営農義務期間が終了を迎えることになる。

 国土交通省によると、2014年12月末時点での生産緑地の指定箇所は三大都市圏で6万2,558地区、面積は1万3,445ヘクタールにのぼり、1992年当時(1万5,109ヘクタール)と比べて大きくは変わらない。一方、市街化区域にある生産緑地以外の農地は、同期間で約4割減少。生産緑地制度が市街化区域における農地保全に寄与していることは明らかである。ただ、生産緑地としての期限が終了すると、税制上の特例措置がなくなることなどから、所有者が土地を手放し、生産緑地が住宅用地に転用されるケースが増加すると予想されている。

 ちょうど1年前、「通勤に便利で、かつ自然豊かな場所に住みたい」と考え引っ越した私の自宅がある東京都某区には、2017年11月末時点で600を超える地区が生産緑地として指定されている。都市部からさほど離れていない住宅街に突如として現れる農地は、この地域の特色とも言えよう。大きなスーパーは隣町、最寄りのホームセンターは隣の県にあるなど、少々不便を感じることもあるが、何よりも静かな住環境が気に入っている。

 生産緑地は指定から30年が経過すると、自治体による買い取り、もしくは自治体が斡旋して他の農業従事者へ引き継ぐという選択肢もある。ただ、自治体の財政事情や生産緑地の残存数を考慮すると、その実現可能性は未知数だ。
 生産緑地法は2017年6月に改正され、実質的に指定期間を10年延長できる特定生産緑地制度が創設されたものの、所有者の高齢化などもあり、その効果は限定的となるだろう。
 自宅から最寄り駅までの道沿いだけでも4カ所ある生産緑地。延命の道が開かれたとは言え、見慣れた風景がいつしか「期限切れ」を迎えると思うと、少々もの寂しい気分になる。

(弁当男子)


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