主観客観

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リクルートスーツは制服?

2018年3月5日

 3月1日、来年卒業を迎える大学生を対象とした会社説明会が解禁となった。これにより、学生の就職活動(就活)が本格的にスタートし、これから初夏にかけて、リクルートスーツを着用した若者たちと街ですれ違う機会が多くなる。

 人手不足が深刻化している中で、今年も就活は「超売り手市場」と言われている。かつて、私が就職活動を行ったバブル全盛期の1990年も「売り手市場」と言われたが、今とは全く異なる環境や構造下での「売り手市場」であった。

 その後、インターネットの普及で学生と企業の接触方法や頻度は激変したが、変わらない点もある。リクルートスーツだ。ただし、厳密には、かつてと比べリクルートスーツの画一化に拍車がかかっているのではないだろうか。

 バブル全盛期当時、女性のスーツは黒だけではなく紺やグレーあり、シャツもレース襟やノーカラーなど様々なタイプが見られた。華美にならない程度にアクセサリーを身につけている女性も珍しくなかった。要は自分に似合っていれば問題ではなかったのである。

 しかし、現在は大学側の指導やアパレルメーカーの推奨という背景もあるのかもしれないが、女性は黒一色のスーツに襟型がシャツカラーかスキッパーカラーの白シャツ。太めのヒールのシューズに、A4サイズの入る黒バッグ、というのが定番だ。企業説明会や複数企業が参加する大型就活イベントの会場などでは、ほぼ全員が同じようなスタイルで臨んでいる。1年後の入社式でも同様だ。指定も強制もされていないものの、まるで日本の企業社会の制服のようだ。

 今の学生は、早い時期から就活に備えて企業研究や業界研究に取り組み、自分自身のプレゼンテーションやディベート形式のグループディスカッションの訓練を重ね、能力やスキルを高めている。にもかかわらず、以前就活中の学生に画一的なリクルートスーツスタイルについて意見を聞いたところ「考えなくてすむので楽です」という答えが返ってきた。学生は就活用の一時的な対応と割り切っているのかもしれないが、そういう発想(割り切り)をこれからの社会を担う若者に口にさせてしまう現実に愕然とした。

 近年、オフィスではカジュアルスタイルが定着し、スーツ着用の機会が減少している。一方で、学生の採否を決め受け入れる側の企業社会は、暗黙のうちにより画一化されたリクルートスーツスタイルを良しとする習慣を作り上げてしまっている。

 バブル期に就職活動をした世代が、今は採用の決定権限を有する立場となっている。企業が若者に対して自由な発想やブレイクスルーの役割を求めるなら、もっと自由な就活スタイルの時代が来てもおかしくないと思うのだが、どうだろう。

(Y.M)


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