旅行業界の景況感に関する動向調査

トラベルDI、5カ月連続で全産業を大きく上回る
インバウンド増や5類移行で急回復
~ 3カ月連続で50超え、2023年7月は55.2 ~

新型コロナ感染症の「5類」移行後、初めての夏休み・お盆シーズンを迎えた。新型コロナにより大きなダメージを受けた旅行業界だが、2022年10月に入国者に対する水際対策が緩和されて以降、訪日外客数は順調に増え、2023年6月は207万3,000人と新型コロナ前の2019年6月の72.0%まで回復した。国内の旅行需要も拡大しており、旅行業界は活気を取り戻している。


そこで、新型コロナ流行前から現在に至るまでの旅行業界(一般旅行業、国内旅行業、旅行業代理店業)に絞った景気DI[1] の動きを調査した。


長い低迷期から脱却。インバウンド増や全国旅行支援、5類移行で急回復

第1回目の緊急事態宣言が発出された2020年4月のトラベルDI [2]は、調査対象の全企業が景況感を「非常に悪い」と回答したため、「0.0」を記録。国内では不要不急な外出の自粛が徹底され、同年3月に中国と韓国からの新規入国者を制限する水際対策が開始。4月には入国拒否地域が拡大したことで、旅行市場は需要ゼロ状態となった。


その後7月には「GoToトラベル」事業の開始で、わずかに回復するも、感染者数の拡大を受けて、12月に同事業が全国で一斉停止されると景況感は再び悪化、トラベルDIは2021年9月まで1桁台で推移した。


しかし、2022年に入ると世界的に水際対策が緩和され、日本でも観光目的以外の外国人の新規入国が再開。さらに10月には全国旅行支援や外国人の個人旅行の受け入れも再開されたことで、需要回復の兆しをみせた。


トラベルDIは2022年2月の3.6から11月には40.8へと大幅に改善し、30ポイント以上差があった全産業の景気DIとの格差も2.3ポイント差まで縮小した。2023年3月には、3年4カ月ぶりに全産業の景気DIより高くなり、「5類」へ移行した5月以降は、トラベルDIが3カ月連続で55.0を上回る高水準で推移している。


インバウンドの増加、国内旅行のコロナ禍からの反動増などのプラス要因に加え、2023年8月10日より中国から日本への団体旅行が解禁された。新型コロナの影響を受けて長期間の低迷が続いた旅行業だったが、今後さらなる景況感の上昇が見込まれる。


トラベルDIの推移(2019年1月~2023年7月)

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2022年度の国内旅行の取扱額、2兆3,899億円とコロナ禍前に迫る

主要旅行業者の旅行取扱状況年度総計」(観光庁)をみると、2019年度に4兆5,695億円だった旅行総取扱額は、翌2020年度には78.3%減の9,922億円まで激減した。


とくに「海外旅行」は前年度比97.7%減、国内の旅行会社が取り扱うインバウンド旅行の「外国人旅行」は同95.9%減と需要がほぼ消失、「国内旅行」も同63.1%減少した。主要旅行業者の多くが最終赤字となり、店舗の閉鎖や人件費の削減などを強いられた。


2021年度はワクチン接種の進行や国内の移動制限の緩和により、総取扱額は1兆4,574億円(同46.9%増)とわずかに回復した。


新型コロナ前の水準には届かないものの、国内外の需要回復を受け、2022年度の主要旅行業者では業績が上向いた企業も増えた。また、旅行総取扱額は同99.7%増の2兆9,102億円となり、なかでも「国内旅行」は2兆3,899億円と、2019年度の2兆5,547億円に迫る勢いとなった。


企業からは、「出張等の人の移動が回復してきている」「宿泊をともなう研修計画や2024年度の新入社員研修の問い合わせが増えている」などの声が聞かれ、観光目的の旅行だけでなく、ビジネス関連需要も活発化している。


一方で、「海外旅行」は4,546億円で前年度から大きく増加しているものの、2019年度比では74.6%減の水準にとどまっている。為替の円安進行や欧米の物価高騰が影響していると考えられ、本格的な回復はしばらく先になりそうだ。


主要旅行業者の旅行総取扱額

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[1]景気DIは、TDBが算出する全国企業の景気判断を総合した指標。50を境にそれより上であれば「良い」、下であれば「悪い」を意味し、50が判断の分かれ目となる
[2]トラベルDIは、「一般旅行業」「国内旅行業」「旅行業代理店業」の景気DIから算出



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