外国人労働者の雇用・採用に対する企業の動向調査

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外国人労働者、企業の約2割が「採用を拡大」
~ 特に教育・コミュニケーション面に課題を抱える企業が多数 ~

人手不足の長期化が見込まれるなか、2023年10月時点で外国人労働者の数は200万人、雇用事業所数は30万カ所を上回った。いずれも過去最高を更新するなど年々増加しており、日本における外国人労働者の存在感は以前にも増して高まっている。


3月15日の閣議決定では、技能実習制度が見直され育成就労制度が新設される方針が明らかとなった。人材確保と育成を目的に、特定技能制度への円滑な移行による共生社会の実現を目指すとしている。しかし、外国人の雇用には課題も多く、人材の確保・定着は決して容易ではない。


そこで、帝国データバンクでは外国人労働者の雇用・採用動向について調査を実施した。

外国人労働者の雇用・採用動向
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<参考> 外国人労働者・雇用事業所の推移
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  • 調査期間は2024年2月15日~29日、調査対象は全国2万7,443社で、有効回答企業数は1万1,267社(回答率41.1%)
  • 各数値は小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計は必ずしも100とはならない


  1. 外国人を雇用している企業は23.7% 今後の採用拡大は個人向けサービス業で強い傾向

    外国人の雇用・採用について尋ねたところ、現在「雇用している」とした企業は23.7%だった。一方で、59.2%が「雇用していない」結果となり、6割近くにのぼっている。

    また、今後の採用についても尋ねたところ、現在外国人を雇用しており、かつさらに採用を拡大する企業は4.5%と僅かにとどまった。また、現在は雇用していないが今後新たに採用する割合は12.2%で、合計16.7%が外国人労働者の採用を拡大する意向があることが分かった。


    業種別では「飲食店」が44.0%でトップとなり、次いで「旅館・ホテル」(35.8%)、「人材派遣・紹介」(33.8%)が続いた。上位10業種のなかで、サービス業や小売業を中心とした個人向けサービス業が多くを占めており、「特にリテール事業では、外国人の雇用は観光客とのコミュニケーションを円滑にするものと捉えている」(投資業、北海道)といった背景がある。他にも、「今後海外への輸出を検討する場合には、輸出国の技術者の採用を考慮したい」(電気機械器具卸売、大阪府)など、外国人を生かした人材活用の強みが聞かれた。


    なお、これら上位10業種のなかでは「飲食店」「旅館・ホテル」「農・林・水産」「メンテナンス・警備・検査」は、特定技能の分野に指定されている。

    上位10業種 外国人労働者の採用を「拡大」
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    本調査では、多様な人材の雇用・採用についても同様に尋ねている。管理職登用の動向が注目されている「女性」を雇用している企業は77.9%と多くを占め、今後採用を拡大する方針の企業も19.4%と他より高い。


    また、定年制の見直しに動く企業も多くみられるなか「シニア」の採用拡大に関しては、10.9%だった。

    シニア/女性/障害者の雇用・採用動向
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  2. 外国人雇用の課題、教育・コミュニケーション面が突出 費用や手続き負担に苦慮する声も

    外国人労働者を雇用する際の課題について尋ねたところ、「スキルや語学などの教育」(55.1%)と「コミュニケーション」(55.0%)が突出して高い結果となった。実際に「採用前の段階で、ある程度の語学スキルがないと採用しにくい。小規模事業者には教育できる人的資源やノウハウがなく、語学習得に関する公的な支援施設がない」(家庭用電気機械器具小売、鹿児島県)など、課題と分かっていながらも具体的な解決策を講じられないという声が相次いだ。特に、教育面では資格や免許が求められる建設業と運輸・倉庫業において、コミュニケーション面では同業種に加えて接客機会の多いサービス業で特に高水準だった。

    これらの2項目以外にも、「日本人と同等以上の賃金がマストだが、必要機関への経費負担が大きく、一人当たりの人件費は非常に大きい」(はつり・解体工事、千葉県)や「過去に雇用していたが、生活面や就労支援の負担が大きい」(鉄鋼シャースリット業、北海道)、「技能実習生がいるが、法改正が予定されるなど今後が不透明。面接しても来日するのは半年以上後になるので、今後の方針が見えないと動けない」(塗装工事、山梨県)などの悩みを抱えている様子がうかがえた。

    外国人労働者の雇用・採用における課題
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  3. 今後の見通し:外国人労働者は引き続き緩やかな増加と予想、一方で慢性的な課題も

    当調査では、採用を拡大する意向のある企業は約2割となったものの、個人向けサービス業などでは意欲的な傾向が表れた。これらの業種では人手不足が高止まりしている現状を踏まえると、当分野では特に外国人労働者のニーズは強まることが予想される。


    今後は政府の支援策にも注目が集まるだろう。今回打ち出された育成就労制度では、技能実習制度では原則として禁止されていた他企業への転籍が認められるようになる制度変更が目玉だ。その要件の一つには、特定技能の認定に必要なレベルよりも易しい日本語能力検定N5段階が求められるが、外国人就労支援の関係者からは「N5段階の転籍は、受け入れ企業の苦労が増すのでは」と指摘する声も聞かれる。日本語能力向上プログラムの抜本的な改善が見られない現状を鑑みると、当調査で主な課題となった教育・コミュニケーション面は今後も大きな課題となろう。


    企業からは外国人労働者の雇用に難しさを感じる意見が多いが、地域やサプライチェーンなど周囲を巻き込んだ就労サポートなど、自社単体だけではない幅広い連携が必要となる。



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