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【 サイドエフェクト 】

2010年10月6日

 かつて消費者金融の最大手として名を馳せた「武富士」が会社更生法を申請した。ピーク時は貸出残高が約1兆7,000億円を超えるまでに拡大、大手銀行の利益を凌ぐ高収益を叩き出していた。上場来最高値で株価は約1万9千円台、時価総額は2兆円を上回る一大金融会社となっていた。それが一転して負債総額4,300億円を抱えて、事実上の倒産となったのである。

 破綻した主な理由は「過払い金返還請求」の増加と「貸金業法改正」による貸出残高の大幅な減少だ。平成18年の最高裁判決で「超過部分に関する支払は原則として債務者が任意に支払ったものとは言えない」とする内容の判決が大きな転機となった。これにより利息制限法に規定する利率を超える分の利息が、有効な利息の債務弁済とは認められなくなり、既に完済した債務者までも返還請求を起こす動きが加速した。これが「過払い債務」と呼ばれる潜在的な債務である。

 保全管理人の会見ではこの請求権は100万〜200万件を超え、金額は1兆〜2兆円と見られていることが明らかとなった。単純計算で見ればこの10年間の貸出残高平均が1兆円として、グレーゾーン金利12%(想定実行利率約30%−利息制限法による利率平均18%)を10年分見積もっても1兆2,000億円が「債務」として潜在することになる。もっとも、100万人単位の従来の借り手である債権者が全て請求する可能性は低く、実際は2割から3割程度が請求ラインとして見られていた。

 ところが平成18年の最高裁判決以降、急激に請求が増加したことに加え、上限金利と総量規制の消費者保護を目的とした「改正貸金業法」の施行も消費者金融業界への影響が大きく、すでに同業他社のCDS(クレジットデフォルトスワップ)も広がり始めている。

 結果的に100万人以上の潜在的債権者の「過払い債権」は大幅カットの可能性が高まった。マーケットでは武富士のドル債は20%を切った水準の気配値と聞かれる。これは更生手続きで約8割がカットされるとの見方だ。一部の司法書士や弁護士は暗に「急げ」と他社からの借入実績を有する債権者にアナウンスするなど、余波は更に加速しそうな勢いだ。消費者保護を目的として行政・司法の下した決断の「サイドエフェクト=(副作用)」に業界と消費者が見舞われている。

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