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【 東日本大震災は観光業界を直撃 】

2011年5月9日

 震災後約2カ月が経過したが、原発事故による電力不足問題や、風評被害が収まらず、復興のきっかけが未だ掴めない日本経済。サプライチェーン被害により自動車、電機、出版など影響は多岐にわたり、予断を許さない状況が続いている。帝国データバンクの調べでは、4月末現在で、震災の影響で倒産した中小企業は全国で66社を数え、これは阪神淡路大震災の3倍のペースとなった。

 当初は、不渡り手形の特例措置や、制度融資などで倒産は抑制されるとの見方があったが、広範囲にわたった被災企業の影響は瞬く間に広がったようだ。
 震災関連倒産の特徴は、社屋や経営陣・社員などへの直接被害があった企業は少なく、キャンセルや、買い控えなどの間接被害が大半を占めることだ。業種別にみると「旅館・ホテル」(8社、12%)が最も多い。なかには(株)佐藤旅館(福島県二本松市)のように、建物や露天風呂に被害を受け、再建費用が調達できずに再建を断念したケースもあったが、ほとんどが、キャンセルが殺到し、先行きの見通しが立たなくなったのが原因。(株)長谷屋(山形県上山市)は震災直後に休館したのち、翌週には再開にこぎ付けたがやはりキャンセルが相次ぎ、資金繰りのめどが立たなかった。

 これは被災地区の周辺のみならず、首都圏の高級ホテルなども同じ状況だ。外国人客の急減や、バンケット部門に加え、比較的キャンセルの影響を受けにくいブライダル部門までもが、大幅な落ち込みに見舞われた。また箱根温泉では、震災直後は小田急線の運行停止の煽りを受けて、7、8割減の集客となった。その後小田急線の再開に伴い、6、7割にまで回復したものの、かき入れ時のゴールデンウィーク価格ではさすがに集客は難しく、通常期間料金の設定を余儀なくされ、実質的な減収は半分近くにまで拡大しそうだ。

 不要不急の観光旅館業界だけに、消費自粛の影響をもろに被った形だが、そもそも旅館業界が抱える問題が、震災を期に表面化したともいえよう。かつてバブル期に過剰な設備投資を行った結果、ハコモノ的な経営を余儀なくされ、赤字と過剰債務に悩まされてきた。債務の棚上げや免除で合理化を図る一方、インバウンドと言われる外国人客にターゲットを絞った。特に中国などアジアからのインバウンド戦略を立てた温泉地は、今回、より大きな影響が予想される。
 地域の雇用減、取引の多い零細企業の売り上げ減、地元金融機関の不良債権問題など、観光旅館問題は広範囲に及ぶ。官民一体となった思い切った支援策の策定が喫緊の課題となっている。

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