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【 ムダの効果 】〜老舗企業は在庫が多い〜

2011年8月3日

 東日本大震災がもたらしたリスクのうち、サプライチェーンの寸断はかつて経験の無かったリスクといわれている。日本の製造業が担う供給網は、全世界に広がっており、生産停止は地球レベルで伝播した。これは地震、水害、原発事故などとは違い、未経験の出来事で、新たなリスクとして認識されるようになった。結果、東北地方に集中していた生産拠点の実態が明らかになったことから、今後は他地域への分散、海外へのシフトなどが加速すると見られている。

 大きな痛手を受けた自動車業界だが、関係者のなかでは「早い復旧、復興を遂げたメーカーは在庫面では優等生ではなかった」と囁かれている。トヨタ自動車が掲げる「かんばん方式」は7つの無駄を排除するためのシステムだが、そのひとつに「在庫」があげられている。各社の復旧時期は一律に比較することは困難だが、この在庫がスピードを左右する(もちろんサプライヤーが偶然、被災地に近かった、遠かったなどの要因はあるが)。

 ところで、老舗企業の財務状況を分析すると、興味深い点がいくつか浮かび上がる。明治末年(1912年)までに創業した「老舗企業」は、2011年7月末時点で2万4,848社。創業から200年以上だと約1,000社、300年以上でも約500社が存在する。この間に、戦争、災害は幾度と無く経験し、それを乗り超えてきた。災害に対しても経験値が高いのが老舗企業と言っても過言では無かろう。

 決算書のデータを入手している1,913社を分析すると、一般企業と比較して際立って良好な数値を見出すことは出来ない。半面、(1)固定資産が多い(2)営業外収益が多い(3)在庫が多いといった特徴がある。特に在庫=棚卸資産回転期間を見ると全業種平均値が0.90カ月に対し、老舗企業は1.52カ月と、他の指標と比較しても大きく乖離している。在庫に関して言えば決して優等生ではなかったといえる。

今回の震災で、サプライチェーンの寸断リスクを再認識することとなった。東日本大震災の関連倒産は2日現在で264社を数えた。うち仕入れが困難な状況がトリガーとなったケースは13.3%を占めた。合理化を突き進めてきた日本の企業だが、余裕ある経営を続けてきた「老舗企業」に学ぶところは多いのではないか。

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