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どうする被災地救済

2011年12月5日

 金融庁は12月1日、中小企業事業者に「資本性借入の活用」を呼びかけた。これに先立ち11月22日には「資本性借入金」の積極的活用として、金融検査マニュアルの明確化を打ち出している。これは2009年12月に開始した「金融円滑化法」が来年3月に期限切れとなるほか、東日本大震災による経営悪化、解消の兆しが見えない超円高など、中小企業の資金繰り悪化を懸念してのことだ。

 全国の企業倒産は、2009年下半期から減少に転じ、2010年上半期では前年同期比14.3%も減少した。しかし足元の2011年上半期では同0.4%減と、ほぼ横ばいのペースに転じた。
 さらに四半期ベースで見れば4月〜6月では0.6%ながら、増加に転じている。約30万社と推定されている「モラトリアム企業」は、経営改善を果たせないまま年末、年度末を迎える。「円滑化法利用後倒産」は10月では22件と過去最多を記録するなど、「先伸ばし」だけでは厳しくなってきたのだ。

 今回積極活用を言い出した「資本性借入」とはDDS(デット・デット・スワップ)のスキーム。震災や、赤字累積などによる資本毀損で「債務超過」状態にある企業のバランスシート改善を図るものだ。具体的には「十分な資本的性質が認められる借入金」を資本金として扱う。資本的性質として「償還条件5年超」「事務コスト相当の金利」「必ずしも担保解除を要しない」の3点を明記した。

 被災地企業の救済が触れられているが、「二重ローン問題」「債権放棄」はいったいどうなったのであろうか。そもそも、検討の段階から無理があった「債権放棄」は、金融界からは「馴染まない」と反対され、債権の買取価格の段階でつまづくなど、拙速な感は否めなかった。
 結局、「モラトリアム法」の期限前に、金融機関側へのメリットを強調したとも取れる今回の活用積極化プラン。「円滑化法利用後倒産」など引当が不十分な貸金が不良債権化すると、銀行自体の自己資本が毀損するリスクが高まる。中小企業の業績改善が見えないなかで、さらなる不良債権の「先送り」となってはならない。

中小企業にとって今本当に必要なのは、「先送り」ではなく立ち直るための具体的な支援。増税、円高、将来の不安などに立ち向かう強力な国としての「政策」と「実行」が求められていることから目を背けてはならない。

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