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「便乗値上げ」は死語になるのか

2012年2月3日

 「書いてない事をやるのはルール違反」なんて辻説法で言ったものだから、「増税」を持ち出したとたん、嘘つき呼ばわりをされてしまったわが国の首相。ところが、世界では「増税」が債務危機回避の切り札となっている。フランスのサルコジ大統領はVTA(付加価値)を21.2%に、またイタリアのモンティ政権も23%に引き上げる政策を打ち出した。いずれも今年中に実施する計画だというから、相当な意気込みである。

 一方日本の増税は、TPPのときもそうであったが、唐突な割には結論が遅い。しかも10%と思ったらその先は17%といった数字が出てくる。さらには一律7万円支給を目指した、新年金制度の財源がいくらになるか非公表とあって、ますます判りづらい議論が続きそうだ。民間、特にサラリーマンにとっては「無駄を削ってもこれくらい足りません、しかもこのままだと、国債格下げ、社会保障の崩壊、などこんな悲惨な生活がやってきます、だから17%ですよ」といった解りやすい数値での説明が欠けているのが最近の議論だ。

 さて、消費税が抱える問題はさまざまだ。例えば、中小企業の経営に対する影響。そもそも消費税が引き上げられた分、価格転嫁できるのか。デフレの真っ只中で、消費税3%分値上げした翌年に、またあと2%上げて下さいとはいけるものだろうか。「だったらまとめて5%分上乗せさせてくれ」(製造業社長)といった悲鳴も既に聞こえてくる。2段階引き上げだと、価格転嫁が出来ない、実質値引きがまかり通る可能性は高そうだ。

 また消費税滞納が、国税全体の滞納額の約半数を占める点も指摘されている。簡易課税制度をとった場合、納税額が大きくなるケースも少なくないなど、徴収システム自体、零細事業者にとって負担が大きい。これに延滞税が加われば、悲鳴を上げたくなるのもわかる。
 ところで前回消費税が引き上げられた1997年4月には「蕎麦屋」、「理髪店」などが「便乗値上げ」としてやり玉に上がったという。これには理由があって、長らく値上げをしていなかった(我慢していた?)ものを、これ幸いと値上げに踏み切ったケースも多いだろう。政府は、便乗値上げを監視する一方で、価格転嫁が可能な仕組み作りといった難しい対応を迫られそうだ。

 しかしデフレが続き、「価格転嫁」さえ、ままならない中小企業にとって、「便乗値上げ」なんて言葉は死語となりそうだ。

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