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経済成長とボーナス

2012年5月7日

 GDPに占める個人消費の割合が過半数である以上、賞与の多寡は景気の動向を見る上で重要な要素である。ちなみに、財団法人労務行政研究所が4月27日に発表した調査結果によると、東証第1部上場企業(143社)の2012年夏のボーナス妥結状況は全産業平均で66万7,724円と昨年夏のボーナス(67万853円)と比べ、金額で3,129円、対前年同期比で0.5%の減少となった。2009年以来3年ぶりのマイナスである。とはいえ大震災による混乱、サプライチェーンの寸断、欧州の財政金融危機、タイの洪水、そして史上最高値域で推移する円高など、マイナス要因をあげればきりがないなか、この程度のマイナスで済んだのはむしろ喜ばしいというのは言いすぎだろうか。

 当社が毎年4月に行っている企業業績調査でみると、大震災直後の2011年4月の調査結果では2012年度の業績について「増収増益」と“予想”した企業は20.7%だった。しかし、1年が経過した今回の調査で実際に「増収増益」を達成できた企業(正確には実績見込みベースで増収増益が達成できる可能性の高い企業)は29.9%に達した。つまり年度を通してみた場合、震災直後に予想していたほど業況は悪くなかったことになる。企業業績に関する明るいニュースが乏しいなか、ほぼ前年並みのボーナス水準で妥結できた理由はそのあたりにあるのではないだろうか。ただし、今回話題にしたいボーナスは、“賞与”ではなく“人口”ボーナス期(bonus:特別手当)についてである。

 人口ボーナス期とは総人口に占める働き手(生産年齢人口)が、それ以外の人口(従属人口)を上回った状態を指す。その値が高いほど労働力や消費、税収の増加に加え、貯蓄率の上昇、投資の活発化が進むうえ、教育、医療、年金など社会福祉関連の費用負担が軽くなる。BRICsをはじめ、タイ、インドネシアなど高い経済成長が続いている国はまさにその渦中にある。日本は高度成長期に人口ボーナス期を迎えたが、世界トップのスピードで少子高齢化をひた走る現在、人口ボーナス期の逆である人口オーナス期(onus:重荷)に入ったというのが大方の見方だ。国内の景気を回す歯車がマイナス方向に向きやすいなかで経済成長を続けるには外需の力が欠かせない。このため、最近では企業の海外進出・販路開拓を積極的に支援する動きが地方自治体および各支援団体の間で活発化している。当社にもそうした動きに関連した相談や依頼が舞い込む頻度が多くなった。空洞化を懸念し国内留置を優先するよりも、高い成長を続けている海外市場での活躍を側面支援することがむしろ当該企業の成長に寄与し、ひいては地域の活性化や雇用の維持につながるという見方に変化しつつある。

 とはいえ、行政に出来るのはそうした意思を持った企業への支援だけである。企業自身が海を越える決断をしない限り手を差し伸べることはできない。リスクは少なくない。失敗によって多額の損失を被るケースや模倣被害に遭うケースもある。しかし、内需拡大に期待が持てない今、ネット環境の発達によって急激な勢いで世界との距離が縮まりつつある今、リスクだけを過大評価して海外への挑戦を控えることこそ、将来に禍根を残すことになりかねないといえないだろうか。

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