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自治体内設置型シンクタンク 〜自治体の政策立案力を強化

2013年2月5日

 2000年以降、国が自治体間での競争を促す施策をとっていることを受け、地方自治体による政策研究機関「自治体シンクタンク」の強化が進んでいます。特に近年では、「自治体内設置型シンクタンク(以下、自治体内シンクタンクと表記)」と呼ばれる、自治体の組織内に設置された地域密着型の政策立案機能を持つ機関が注目を集めており、茨城県高萩市(推計人口30,194人)の「げんたか研究所」や滋賀県草津市(同125,883人)の「草津未来研究所」など、自治体の人口の多少にかかわらず創設が広がりをみせています。

 しかし、自治体内シンクタンクは、単に設置しただけでは政策立案機能の強化にはつながりません。現状ではその機能をより強固なものとするために、次の4つの課題を解決する必要があるといわれています。

 (1.人の壁)自治体内シンクタンクの研究員は、一般に自治体職員が勤めることになります。しかし、職員が必ずしも研究員としての訓練を受けているとは限りません。
 (2.資金の壁)長期の財政難で、自治体は自治体内シンクタンクの設置・運営の予算を確保しにくくなっています。少ない予算で設置・運営し、成果を上げなければなりません。

 (3.仕事の壁)自治体内シンクタンクは政策の“研究”と“立案”を担う役割にありますが、政策“実施”を同時に求められることもあります。こうなると既存の企画部門との機能的な区別がなくなり、シンクタンクとしての役割を果たせなくなることがあります。

 (4.時の壁)自治体の投資となる自治体内シンクタンクは、地域の実情に応じた政策案を創り政策に反映し、地域住民の生活水準を向上させるという結果が早期に求められます。しかし中長期的課題への期待が多いのが実情で、結果を出すまでの時間的制約があります。

 このような自治体内シンクタンクが抱える課題があるなかで、成功している例には以下のような特徴があります。

 1.「政策管理」助言機能の充実
 原課(担当課・事務主管課)が取り組んでいる政策管理に関し、助言(コンサルティング)を行う。特に原課では解決が難しいと思われる課題に対し、異なった見地からの助言により課題解決を図る点が評価されています。

 2.「政策の窓」蓄積機能がある
 必要とされるであろう政策を予測し事前に取り組む機能があります。たとえば、新たな法律の制定に対応して、自治体条例を先手先手で用意しておくといったことです。
 とりわけ、1.「政策管理」助言機能が充実している自治体内シンクタンクは、自治体のなかでも信頼を得ることができています。

 また、こうした特徴を獲得するため、政策開発にむけた調査機能も同時に持つことが望ましいといえます。これは将来予測や経済波及効果測定などの技術です。しかし、このようなテクニックは必ずしも自治体職員(研究員)が持っている必要はなく、外部への委託でも可能です。つまり、外部からうまく人材を取り入れている自治体内シンクタンクほど、より良い政策を創出し注目を集めていることが多いといえます。

 弊社では先頃、自治体内シンクタンクを創設して数年ほどのある市について、地域経済の動向分析や東日本大震災が地域経済に与えている影響を分析する業務を行いました。弊社が持つ企業データや既存の市の経済指標と県や国の経済指標との関連性を明らかにすることのほか、震災から受ける経済波及効果を算出しています。この市における自治体内シンクタンクでは、経済分析などのテクニカルなことを外部に委託することで、政策立案に特化している事例といえるでしょう。

 地方分権が進められていくなか、地方自治体は政府主導による政策に頼ることなく、それぞれが地域の特性を活かした独自の施策を立案・実践する必要性はますます高まっていくと考えられます。そのためには、たとえ「シンクタンク」という形態をとらないとしても、企画部門の強化は必須といえるのではないでしょうか。

(窪)


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