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自治体、住民、企業の共同作業で高める幸福度

2013年11月6日

 ●広がる自治体の幸福度指標
 自治体の施策に対する行政評価の視点が従来型のアウトプットだけではなく、業務成果の本質的な価値にまで言及する「アウトカム」が重視される傾向が高まっています。
 その究極に位置するものは住民の幸福です。
 
 しかし、“幸福とは何か”ということの定義は多くの要素がからみあいます。
 2010年にフランスで報告された「経済成果および社会進歩の計測に関する委員会」(スティグリッツ委員会)では、原則として少なくとも次の項目を同時に考慮すべきとしています。
  1. 物質的な生活水準(所得、消費および財産)
  2. 健康
  3. 教育
  4. 仕事を含む個人的な諸活動
  5. 政治への発言と統治
  6. 社会的なつながりと諸関係
  7. 環境(現在および将来の諸条件)
  8. 経済的および物理的な安全度
 日本においても幸福度研究の重要性は認識され、2011年には内閣府が「幸福度指標案」を発表しました。その後、内閣府経済社会研究所が実施した調査結果により、幸福度を上昇させるためには、1.人びとの健康状態の向上のための政策、2.就労機会の増加、3.老後の社会的支援、4.子育て支援の4点への政策的配慮が必要であるとまとめられています。 
 こうした流れを受け、都道府県や市区町村でも幸福度について独自の指標を設け、住民とのコミュニケーションや行政運営への活用が進められています。

 ●幸福度指標作成の具体例(熊本県)
 たとえば、兵庫県では、米国で開発され世界中の政府機関や非政府組織によって利用されている「真の進歩指標」(GPI、Genuine Progress Indicator)を公表しているほか、熊本県の「県民総幸福量」(AKH、Aggregate Kumamoto Happiness)と「“笑いの数”による幸福度指標」(SI、Smile Index)など、さまざまな自治体で幸福度指標の開発・公表が行われています。

 指標作成の方法を具体的に紹介すると、熊本県では、AKHを構築するにあたり、幸福要因を「夢を持っている(夢、希望)」「誇りがある(自然、文化、生きがい)」「経済的な安定(稼げる、所得)」「将来に不安がない(健康、安全、安心)」の4分類12項目で整理し、各要因に関する県民の主観的満足度に対するアンケートを通じて算出しています。

 また、SIは、幸福を示す象徴である“笑い”を活用し、より直感的に分かりやすく県民の幸福度を表すAKHの補助的指標として開発されています。これは幸福ウォッチャーとよばれる調査員が、一定期間における“笑い”の数と“泣き(怒り)”の数を計測し、“笑いの数−泣き(怒り)の数”によって算出するものです。

 いずれも基本的に主観的指標のみで構成されており、熊本県内においても地域により求める幸福は異なるとして地域ごとのワークショップを開催するなど、地域の多様性・住民参加を重視した指標づくりとなっています。

 ●京都では経済団体との連携も
 さらに、幸福度指標の作成において、経済界が主体となり自治体と連携したケースもあります。京都市では、京都経済同友会が内部に「ハピネス特別委員会」を設置し、市の特性を活かした幸福指標を策定しています。

 しかし、京都市という限定された地域であっても、幸福度は各人のライフステージや置かれた状況によって変わります。京都市住民への調査によると、新たに地元でコミュニティを作りたい人、長く京都に住んでいるけれども京都を変えていきたい人、収入が高くなく現状から脱出したい人、安定志向で京都の価値を支えていきたい人、生活の充実を求める人など、年齢や性別などで幸せの形はまったく異なります。この違いをどのように組み合わせて、全体の幸福を高めるストーリーを作るかが重要になるのでしょう。

 また、京都経済同友会は京都府および京都市と連携し、「京都幸福会議2013」を開催して府民を巻き込んだ形で幸福度への関心を高めています。特に、財務諸表の手法を用いて、幸福につながるものを“資産”、幸福を阻害するもの・減退するものを“負債”として定量化し、貸借対照表形式で表現する幸福度会計を作成していることは経済界ならではと言えるでしょう。
 各地での取り組みは、首長のリーダーシップや地域の経済的・社会的な状況、風土、自然環境などの地域特性を活かした独自色豊かなものです。そのため、自治体、住民、企業が一体となることが、地域住民の幸福度を高めるポイントではないでしょうか。

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