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人材戦略:第1回「企業業績と従業員数の関係」

2014年1月9日

 企業は、成長ステージに応じていくつかの壁が存在すると言われています。創業間もない時期は「いかに資金を調達できるか」、経営を軌道に乗せて成長する時期は「いかに売上高を伸ばせるか」、そしてより大きな事業に拡大させる時期は、社長個人の力に依存した経営から脱却し、「組織体制をいかに整備できるか」が事業継続の主なポイントとして挙げられます。
 TDB REPORT 124号では、年商30億円未満の企業を「個人経営から脱却してより大きなビジネスに拡大させる時期」にある企業と定義し、組織体制整備の壁を突破する戦略のポイントを「採用」「育成」「活用」の視点から探りました。そこで、今回から誌面と関連したコラムを掲載していきます。第1回は企業業績と従業員数の関係を見ていきます。

 1.業績拡大企業においても従業員数の増加は約6割にとどまる
 TDB REPORTでは、帝国データバンクが保有する企業概要データベースCOSMOS2(2013年9月時点)をもとに、業績拡大と従業員数の推移について分析しました。ここでは誌面のなかから、いくつかご紹介します。  直近2012年度(4〜3月期)の年商が2008年度比で30%以上の増収となった企業(以下、業績拡大企業)21,269社について、従業員数を2008年当時と比較集計したところ、従業員数を「増加した」企業は12,170社を数え、構成比57.2%を占めました。
 その一方で、業績を拡大しながらも従業員数が「横ばい」(5,900社、構成比27.7%)、もしくは「減少した」(3,199社、同15.0%)企業は合わせて9,099社と構成比42.8%を占めました。
 業績を拡大している企業のなかでも、実際は従業員を増加させることなく、既存社員を教育・育成しながら業績を拡大している企業は少なくないといえます。

 2.従業員数を増やした企業は労働集約型産業が上位を占める
 次に、業績拡大企業の従業員数推移を業種別にみると、従業員を増やした企業の割合がもっとも高かったのは「運輸・通信業」で、71.7%を占めました(図表2・3)。以下、「サービス業」(構成比63.5%)、「小売業」(同62.8%)がこれに続き、労働集約型産業が上位を占める結果となりました。
 一方、従業員数を増やした企業の割合が最も低かったのは「不動産業」で、35.6%にとどまりました。リーマン・ショック以降、不動産業界全体の低迷が続き、業績拡大時であっても、景気変動や事業再編といった雇用調整などに備えるため、従業員の増加を抑えてきた企業が多いといえます。

 3.年商30億円を突破し、直近5年間で雇用を拡大させた企業はわずか8.0%
 業績拡大企業の従業員数推移を年商規模別にみると、従業員を増やした企業の割合が最も高かったのは年商「1,000億円以上」で、95.4%を占めました。以下、「500億〜1000億円未満」(構成比94.0%)、「100億〜500億円未満」(同86.6%)が続きました。
 一方、従業員数を増やした企業の割合がもっとも低かったのは年商「1億円未満」で、26.8%にとどまっており、年商規模の小さい企業ほど従業員を増やしていない状況が顕著です。中小零細企業には大企業ほど人件費を増やせる余裕がなく、採用担当者なども不在の企業が多いことなどもあり、業績拡大時でも既存社員の教育・育成で乗り切ろうとする傾向がうかがえます。

 企業を取り巻く環境は、中長期的には少子化により人口減少が進み、労働力不足が懸念される状況にあります。生産年齢(15歳〜64歳)人口はすでに減少に転じており、労働力人口も次第に減少に向かうことが予測されるなか、特に中小企業では知識やノウハウの承継が重要な課題となっています。
 一方で、業績が拡大するなかでも、従業員数を「増加した」企業の割合が約6割にとどまったことは、依然、人件費上昇への抵抗感が強いことが背景にあるのではないでしょうか。そうした点をふまえると、企業が競争力を維持していくうえでは、限られた人材を確保し、いかに育成していくか、中長期的な視点に立った取り組みが求められます。
 ただ、年商別に企業数の分布をみると、年商10億円、30億円を境目として大幅な変動が見て取れることから、事業拡大・成長には年商の壁という存在します。特に、今回分析した業績拡大企業においても、2012年度決算で年商30億円を突破している企業が1,994社(構成比9.4%)と分析対象企業の1割未満であることからも、事業拡大の困難さが見て取れます。

 事業拡大させるためにはどのように人材を集め、育て、活かすべきか、そのためには何が必要か。TDB REPORT124号では企業への取材やデータ分析を用いて、そのポイントを詳しく解説しています。次回以降もご紹介していきます。

 TDB REPORT124号のご紹介はこちら
 http://www.tdb.co.jp/lineup/publish/tdbrep124.html

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